カメレオン飼育に必要なアイテム7選のご紹介
殆どの種類が樹上で生活しているカメレオンは、飼育のカテゴリーとしては「樹上性爬虫類」に分類されています。とはいえカメレオンは樹上性爬虫類の中でも特殊な部分があるので、飼育に必要なアイテムとその特徴等についてご紹介させていただきます。
1.止まり木
カメレオン飼育の必須アイテムです。
枝の上を移動する彼らの道になったりレイアウトにおいて自然な雰囲気を出してくれたりと環境に変化を与えてくれます。
アクアリウム用の流木やコンパニオンバードの飼育用に販売されている止まり木もよく使われていますが、ご自宅の庭や公園で剪定された枝を熱湯消毒した物も良い止まり木になります。
最近では人工の止まり木も販売されており、こちらは木を加工した物ではなく、ケージやレイアウトに合わせて好きな長さにカットできます。また、中に針金が入っているため曲げて変化をつける事もできます。
そのままケージに立て付けるとカメレオンの重さで傾いたり倒れたりする事があるため、結束バンドやビニタイ等でしっかり固定するようにしましょう。
止まり木選びのポイント♪
カメレオンの手の大きさに合わせよう!
幼体成体、種類によって大きさが全く違うカメレオン。
もちろん手の大きさも違います。カメレオンが枝を握った時に、「爪が重ならない位の若干余裕がある太さの枝」が丁度良いです。
止まり木の設置のポイント♪
「ボク達は枝を渡るのが得意なの」
カメレオンは「樹上性爬虫類」というカテゴリーですが、ツリーモニターやキノボリトカゲのように鋭い爪を樹皮や枝に引っかけて移動をするわけではありません。
カメレオンは自身の爪だけに頼らず、強い握力を持った手足で枝や葉をしっかりと掴んで移動します。その移動方法は垂直な木を登るためではなく、水平に生えている枝や蔓を渡るのに適しているため、止まり木はなるべく水平方向に設置してあげるのがポイントです。
2.温度計、湿度計
飼育ケージの中の環境が一目で分かるアイテムです。
カメレオンは温度や湿度に敏感な種類も多いため、温度計と湿度計を設置しておけば湿度も温度もすぐに分かり環境の改善に役立ってくれます。
温度計、湿度計の設置のポイント♪
「複数のデータを知ろう!」
設置場所によってはどうしても数値に差が出てしまうため、
1ヶ所ではなく複数ヶ所に設置するとケージの中の詳しい環境が分かりやすくなります。
また、ガラス温室を飼育ケージに使っている場合は複数ヶ所に温度計と湿度計を設置しておいた方が温度や湿度の上がり過ぎや温度の勾配等を確認しやすくなります。
3.紫外線ライト
カメレオンに限らず爬虫類飼育の必需品です。
爬虫類は自然下では太陽光を浴びて体を温めたり、紫外線を吸収する事でカルシウムの吸収を助けてくれる「ビタミンD」を体内で作ったり新陳代謝を促進したりしています。
この日光の役割を果たしてくれるのが「紫外線ライト」です。
カメレオンは太陽光を常にたっぷり浴びてそうなイメージがあるかも知れませんが、爬虫類の中では弱めの紫外線ライトを使います。(弱いライトは主に「2.0」と表記されています。)
アクアリウムでも有名な「メタルハライドライト(通称・メタハラ)」は太陽光に近い波長の光を照射してくれますが、その分非常に強力なため熱まで出します。
紫外線ライトの設置の注意点!
たっぷり紫外線を浴びられるようにとケージギリギリに近付けて紫外線ライトを設置しないようにしましょう。
これには理由があり、ライトが近すぎるとケージの隙間から出たしっぽや手がライトの熱で火傷をしてしまったり、近付き過ぎてしまいライトの熱で低温火傷を負ってしまうこともあります。
また、ライトの事故例として厄介なのが「ライトの光による目の炎症」です。
カメレオンの目は爬虫類の中でもかなり特殊な構造をしているため、ライトが近過ぎて目に炎症が起きるという事があります。カメレオンは視覚にかなり頼っているため、目が見えなくなると餌も水も摂らなくなってしまいます。
もちろん観葉植物や造花を使ってケージ内に光の明暗をつけてあげる事もお忘れなく。
4.ドリップボトル
その名の通り、ポタポタと雫を垂らす事で水の視認性を高め、給水をするアイテムです。
カメレオンは動かない水をあまり認識しないため、
ドリップボトルは給水アイテムとして重要なアイテムです。
手作りする事もできますが、
最近ではペットショップや通販でドリップボトルを手に入れやすくなりました。
ドリップボトルの設置のポイント♪
「水の視認性を高めよう!」
ドリップボトルから伸びているビニールチューブから水が垂れてくるのですが、向きを固定しないとカメレオンが掴んだ時に向きが変わってしまったり水の流れが悪くなってしまうことがあります。
また、観葉植物や造花の上を水が伝うような向きにして設置すると、
視認性が高まったことでカメレオンも水を飲みやすくなります。
5.スポットライト(バスキングライト)、ヒーター
ケージ内の温度を保ったり体温を上げるための日向ぼっこの役割のあるアイテムです。
エアコン等で一室管理している場合やベーメカメレオン、ヒメカメレオンのように暗めの環境を好む種類にはあまり使わないアイテムでもあります(筆者はエアコン管理)。
特にウスタレカメレオンのような大型種は栄養を賄うためにササミやピンクマウス等の肉類も与えられる事もあり、肉類を食べたカメレオンの消化を促進させるためにかなり重宝します。
スポットライト、ヒーターの設置の注意点!
こちらもケージに近過ぎるとカメレオンが火傷をしたり目に炎症を起こす原因となってしまうため、ケージから少し離して設置します。
このアイテムは「保温、体温上昇」のためのアイテムなので、使う場合はケージ内の温度が30℃を越えないように注意してください。
不安な方はヒーターをサーモスタットやダイヤルで制御し、
バスキングスポットの温度もこまめに確認して30℃いかないように設置距離を調節しましょう。
6.床材
ケージの下部に敷くアイテムです。
①新聞紙
新聞を購入しているご家庭であれば、
溜まりがちな古新聞も床材として使う事ができます。
新聞紙のメリット
- 汚れたら取り替えるだけでOK。
- 敷くだけなのでケージの下部のメンテナンスが楽。
新聞紙のデメリット
- そもそも新聞を購入していないとできない。
- ケージ下部の見栄えが悪くなりやすい。
②パームマット(ヤシガラ)、バークチップ(パインバーク)
木のかけらや、ヤシの木になるヤシの実の繊維などで作られたものも床材として使用できます。
パームマット、バークチップのメリット
- 保湿性が高いのでケージ内の湿度を保ちやすい。
- レイアウトに自然な雰囲気が出る。
パームマット、バークチップのデメリット
- 保湿させ過ぎると腐りやすくなり、カビが発生しやすくなる。
③昆虫飼育用腐葉土
昆虫飼育によく使われる腐葉土もカメレオンや爬虫類の床材として使う事ができます。
昆虫飼育用腐葉土のメリット
- いかにもジャングルの床感があるので見栄え良い。
- 保湿性が高いので湿度維持がしやすい。
昆虫飼育用腐葉土のデメリット
- ダニやキノコバエ等の小さな虫が沸いてくる事がある。
- カビが生えやすい。
④人工芝
ホームセンターに売っている人工芝も良い床材になります。
人工芝のメリット
- 見栄えが良い。
- 商品によっては芝の部分に水が溜まるためケージ内の保湿効果が期待できる。
- 繰り返し使えるのでエコ。
人工芝のデメリット
- コストは若干高め。
- 芝の部分に絡み付いた排泄物の処理のために、週に1回くらいはケージから取り出して丸洗いが必要。
⑤フローリングマット
こちらもホームセンターで購入できる床材です。
フローリングマットのメリット
- 防水加工をしているため洗った後の水捌けが早い。
- 相当劣化しない限り繰り返し使える。
- カメレオン飼育とは思えない程スタイリッシュな床になる。
フローリングマットのデメリット
- 防水加工がしてあるため、ケージ内の湿度を保つ工夫が必要。
- 床材にしてはコストが高め。
⑥ペットシーツ
犬猫用に販売されているペットシーツもカメレオン飼育に使う事ができます。
ペットシーツのメリット
- ペットショップやホームセンターよく取り扱われているため入手が楽。
- シンプルだけど見栄えが良い。
- 商品によっては消臭効果もある。
ペットシーツのデメリット
- 性能が高いペットシーツだとコストが高い。
- そのまま使うと湿気を吸収してしまうので、ケージ内の保湿の工夫が必要。
⑦砂
「は?」と思う方も多いと思いますが、
「あるカメレオン」の生息環境を再現するために必要な床材です。
そのカメレオンは「ナマクアカメレオン」という種類で、砂漠に生息している非常に珍しい種類です。再び国内で出回るかは不明ですが、カメレオンでありながら砂漠性のトカゲに似た飼育環境が必要な種類と言われています。
ペットシーツのメリット
- 排泄物の掃除がしやすい。
ペットシーツのデメリット
- 水に濡れると固まるため、塊を砕く必要がある(ナマクアカメレオンが砂に潜るかは不明)。
7.ファン、サーキュレーター
カメレオンは風通しの良い環境を好み、
暑い環境や蒸れる環境を苦手としている種類がほとんどです。
鳥カゴやメッシュケージの場合は通気性は特に問題ありませんが、
他のケージだと湿度や素材によっては蒸れてしまう可能性があります。
ファン、サーキュレーターの使用上の注意!
内部のプロペラが動く事で風を起こしてくれるアイテムですが、部屋んぽ(おさんぽ)中にカメレオンがイタズラしてしまう可能性があります。プロペラに巻き込まれたらケガは必至なので、部屋んぽ中は電源を切るか、目を離さないようにしましょう。
中には某O型のファンを使っている愛好家の方もいますが、
コストが高いので余裕がある方はそちらのタイプを使うのも良いと思います。
飼育に必要なアイテムのお次は、あると便利な飼育アイテムについてもご紹介させていただきます。
あると便利な飼育アイテムについて
・ピンセット
餌の虫を摘まむ時やフンや尿酸等の排泄物を取り除くのにも使えるナイスなアイテムです。
ステンレス製の物や竹製の物もあり、大きさや形状にも違いがあります。
掃除用と給餌用にいくつか持っていると便利です。
ピンセットの注意点について!
ピンセットの中には先が鋭く尖ったタイプがあります。
掃除用に使うならまだ大丈夫ですが、決して給餌用に使ってはいけません。
カメレオンは舌を伸ばして餌を食べますが、その際に舌をピンセットの先で傷付けてしまい、そのまま拒食に陥ったり病気になってしまいます。舌を伸ばさないで食べに来た場合も同じで、口内が傷付くと病気になってしまいます。
これは他の爬虫類や両生類にも言えるため、
給餌用のピンセットには先の丸いタイプのピンセットを使った方が無難です。
・霧吹き
ケージ内の保湿やカメレオンの給水もできるアイテムです。
こちらも100円ショップで購入できます。
霧吹きの注意点!
ケージ内の湿度を保つアイテムの1つですが、飼育個体が脱皮中の時は水をかけない用に注意しましょう。
脱皮中に水をかけられてしまうと、まだ剥がれていない皮が硬質化してしまう事があり、脱皮不全の原因になってしまう事があります。
・ミスティングシステム
人工的に霧を起こしたり雨を再現する事ができる装置です。
主にヤドクガエルの飼育やアクアリウムで使われている事が多いです。
湿度を保つ効果が高く、ケージ内に設置したノズルから水が噴射されるため、カメレオンは水を認識しやすく給水を確認しやすいです。
ミスティングシステムのポイント♪
- タンク内の残りは確認しよう
特にパーソンカメレオンやオショネシーカメレオン等の「カルンマ属」のカメレオンは水を飲む頻度が高く、湿度にもかなり気を遣います。
ミスティングシステムは本体のタンク内の水を噴霧しているので空になってないかしっかり確認し、少なくなってきたら水を足しましょう。
・観葉植物、造花
レイアウトに華を添えるアイテムです。
特に造花は100円ショップでも購入でき、観葉植物はホームセンターで購入する事もできます。
アイビーやシュガーバイン等のツタ植物を模した造花は止まり木に巻き付けて使うだけでも雰囲気が出ますし、汚れても丸洗いできます。
観葉植物はケージ内の雰囲気が自然になり、保湿効果もあるので使う方もとても多いです
また、ヒメカメレオン等の地表性のカメレオンにはポトス以外にも「水苔」や「ジュウモンジシダ」等の植物をレイアウトに使う事もあります。これらの植物はペットショップでも見る機会が増えているので購入しやすいと思います。
観葉植物、造花の注意点!
ケージ内のレイアウトに自然の雰囲気を与えてくれるアイテムですが、観葉植物はカメレオンの爪と握力によって葉や茎が痛みやすくなります。また、エボシカメレオンは成長に伴い植物質の物を食べるようになるため、観葉植物が食べ尽くされてしまうことがあります。
これを完全に防ぐ方法はありませんが、カメレオンの空腹状態や水分状態を把握し、しっかり給水をさせ餌も食べさせれば多少は食害も減ると思います。
造花は安価で扱いやすいアイテムですが、エボシカメレオンは勘違いしてかぶり付こうとする事があったり、ツタの部分や葉の部分がボロボロになってくるとカメレオンを傷付ける可能性があるため毛羽立ちが目立ってきたら交換すると良いでしょう。
・サーモガン
銃のような見た目をしていますが、取っ手のスイッチを押すとケージ内の温度をすぐに測ることができるアイテムです。
日常的な管理として温度計、湿度計は大事ですが、飼育数が多い場合はサーモガンを使うとすぐに温度が分かります。
サーモガンの使用についてのポイント♪
- 複数ヶ所を測ろう
秒でケージ内の温度を測れるサーモガンですが、ケージの広さや高さによっては場所毎に温度に違いが出てきます。そのため測る場合は上部、下部等と分けて複数ヶ所測っておくとケージ内のより正確な温度を知る事ができます。
・ベニヤ板、段ボール、メッシュ等
複数飼育をしている愛好家の方や専門店では、
カメレオンのストレス軽減のために左右の他個体が視界に入らないように隣合ったケージの間に板を挟むこともあります。
・スポイト
カメレオンの給水に使うアイテムです。
霧吹きとミスティングシステム、ドリップシステムがあれば影が薄くなってしまいがちですが、カメレオンの目の前でポタポタと水を垂らすと飲みに来ることがあります。
カメレオンはいかに水を飲ませてあげられるかも飼育を左右するため、給水方法はいくつあっても良いと思います。
スポイトならではのメリット♪
「水の摂取量を知り、カメレオンとのコミュニケーションの時間になる」
スポイトには目盛りが付いていることが多いため、
飼育個体が1度に飲む水の量を知ることができます。
また、個体によっては「スポイトから水を飲ませて」と言わんばかりに寄って来てスポイトから水を飲む個体もいます。
まとめ
色々種類があると思いますが、
これらのアイテムがカメレオンの飼育に必要な基本アイテムになっております。
カメレオンの飼育はかつては非常に難しいものとされていましたが、
多くの愛好家達の努力や経験、失敗によって飼育方法が確立してきました。
飼育するために、長生きさせるために努力を惜しまなかった先人達の飼育データがあったからこそ、これらのアイテムが飼育に必要な物だということが分かったのです。
今は初めてのペットにカメレオンを迎えるという時代になっています。
ペットとしてはまだまだマイナーかも知れませんが、初心者でもケージやアイテムをしっかりと準備して、迎え入れた個体をよく観察し大切にすればちゃんと長生きしてくれます。
そしてカメレオン自身も飼い主のことを覚え、彼らなりに努力に応えてくれるのです。
もしこのメディアで、カメレオンとの生活を夢見る方々の悩みの解決や夢の実現に少しでも貢献できたのなら、これ程嬉しい事はありません。