スタンダードから意外なものまでカメレオンの飼育ケージを解説!
カメレオンの飼育の必需品の1つと言えば「ケージ」です。
飼育するにあたって、彼らの生活スペースの確保はとても大切な事です。
カメレオンと飼育ケージのお話
カメレオンは基本的に単独生活をしているため、生まれて間もない幼体や協調性のある種類以外は1ケージ1匹を目安に考えておくと無難です。
ケージは高さと広さがある物の方が温度の勾配をつけやすかったり、レイアウトした時に変化をつけやすいです。また、カメレオンが自分の好きな場所を選べる選択肢も増やすことができます。
カメレオンも種類ごとに性質が違うので、彼らに合わせた飼育ケージを選ぶことが重要になります。
ケージの設置場所は?
カメレオンの飼育ケージの設置目安は自分の目線以上の高さと言われています。これはカメレオンの性質による所が大きいです。
自然の中で木の上に住んでいるカメレオンは、基本的に他者に見下ろされるということもなければ見つめられるということもありません。
もしそういう事があったら、それは敵に狙われているということなのでカメレオン達はそういった状況を嫌い、かなりのストレスを受けてしまいます。
飼育ケージの種類について
1. 爬虫類飼育ケージ
特徴は?
様々なメーカーから販売されている爬虫類飼育に適した作りのケージです。
中には組み立て式のタイプもあります。多くのショップでも取り扱っているため、購入しやすさも売りです。
開閉部分がケージの前面にあるのが殆どで、
真上から来られるのを嫌うカメレオンにとって横からメンテナンスされるのはストレスが少なく済みます。
保温、保湿性に優れているので殆どの種類に使う事ができますが、
ジャクソンカメレオン等の通気性がネックとなる高山種にはあまり向いていません。
爬虫類ケージのメリット
- 保温、保湿性はバッチリ!通気性がネックの高山種以外はほぼ対応可能。
- 前面に開閉部があるのでメンテナンスが楽!カメレオンに与えるストレスも少ない。
- ペットショップや通販で簡単に手に入りやすく、サイズも様々。
爬虫類ケージのデメリット
- 大型ケージはその分値段が高い。
- ジャクソンカメレオンのような高山種には不向き。
- ガラス製品なのでそこそこ重量がある。
爬虫類ケージで飼育可能なカメレオン
通気性を好む高山種を除いて殆どの種類のカメレオンを飼育できます。
生まれたばかりのカメレオンの赤ちゃんも飼育できます。
2.メッシュケージ
特徴は?
全面がメッシュ仕様のケージです。
こちらもサイズが様々用意されており、小さいサイズは昆虫飼育に使われている事もあります。ナイロンメッシュのタイプとステンレスメッシュのタイプがあります。
メッシュのおかげで通気性にも優れているため、通気性の良い環境を好む高山種の飼育にも向いています。
この性質から、餌食いの悪い個体をメッシュケージで飼育するとストレスが少ないため餌付き易くなるそうです。
他にも、ケージ自体が軽量なので移動が比較的楽なケージで、愛好家の中には屋外に設置して日光浴用ケージとして使われていることもあります。値段もケージの中では安価なので、お財布へのダメージも少ないのもポイントです。
メッシュケージのメリット
- 値段がケージの中でも安価。しかも軽い(ナイロンメッシュ)。
- 通気性が高いので高山種の飼育も可能。
- ストレスが少ないので餌食いの悪い個体も落ち着いて餌を食べやすい。
- カメレオン飼育と相性が良く、ほぼ全ての種類の飼育が可能。
メッシュケージのデメリット
- 飼育個体が見づらい。
- 底面にペットシーツ等の「受け」を敷かないと掃除が大変。
- 網目が粗いと餌が脱走する事がある。
- 網目が細かすぎると爪が引っ掛かってケガの原因になる事もある。
- ステンレスメッシュのタイプは多少重い。
メッシュケージで飼育可能なカメレオン
ほぼ全ての種類が飼育可能のケージ。
餌食いの悪い個体や妊娠中で神経質になっているメス、生まれたばかりの赤ちゃんカメレオンにも向いています。
3.鳥カゴ・小動物飼育用ケージ
特徴は?
ここに来てまさかの鳥類飼育用品です。
カゴ故に通気性がかなり良いため、通気性を好む種類の飼育に向いています。
しかし、乾燥しやすいというデメリットもあるため、湿度を保つために側面にビニールシートを張ったりメッシュカバーを付ける他、こまめな霧吹きも必要になります。
小動物用のケージもカメレオン飼育に使う事ができ、広さや高さの面からモモンガやデグー飼育用ケージが使われている事もあります。
鳥カゴのメリット
- 通気性が良いのでカメレオンの飼育に向いている。
- ケージの中では軽量で持ち運びもしやすい。
- 値段もお求め安い部類。
- カゴなのでカメレオンにとって掴める場所が多く、活動できる範囲が意外と広い。
鳥カゴのデメリット
- 通気性が高いが故に乾燥しやすく、湿度を保つための工夫が必要。
- 隙間が大きいので餌をバラ撒いて与えると生き残った餌が脱走する。
- カメレオンの種類によっては隙間をくぐり抜けて脱走する。
- カメレオンがたまに頭を隙間にグリグリしてしまい、カスクのウロコが若干削れてしまう事もある。
鳥カゴで飼育できるカメレオンの種類
カゴの隙間から脱走してしまうため、12〜13cm未満の小型種や赤ちゃんカメレオンには不向き。エボシカメレオンやパンサーカメレオン等の大型〜中型種の飼育に向いています。
4.干物ネット
特徴は?
まさかの干物作り用品です。
全面がメッシュになっているため通気性も良く、
仕切りになっている部分を取り外せば高さのある飼育ケージになってくれます。
干物ネットのメリット
- 軽くて持ち運びもしやすい。
- 内部の仕切りを取れば高さのあるケージになる。
- 通気性が良いのでカメレオン飼育に向いている。
- メッシュが視線を遮るため、カメレオンのストレスが少ない。
干物ネットのデメリット
- ネット故に生体観察がしづらい。
- メッシュケージより通気性が高いため乾燥対策が必須。
- 網目がカメレオンの角や爪に引っかかる事があるのでそこは注意が必要。
- バラ撒いて餌を与えると、小さめの餌がネットから脱走する事がある。
干物ネットで飼育できるカメレオンの種類
大きい種類にとっては狭いのであまり向いていませんが、
20cm程の大きさの種類であれば飼育ができます。
5.水槽
特徴は?
アクアリウムやアクアテラリウム等でよく使われているアイテムです。
しかし、湿度がこもって蒸れやすいため、フタには水槽のサイズに合わせた網ブタを使い、観賞魚用の小型ファンを取り付けて通気性を良くする必要があります。
また、水槽のサイズに合わせて枠を作り、その上に網を被せて「かさ上げ」する事で湿度のあるエリアと湿度の少ないエリアを作る事ができるため、カメレオン達に好きな湿度を選ばせる事ができます。
水槽のメリット
- 湿度を保ちやすい。
- ガラス製は傷が付きにくくて丈夫。
- 値段もお手頃。
- かさ上げをすると湿度のエリアにメリハリをつけられる。
水槽のデメリット
- 全体的に蒸れやすいので通気性を確保するための網ブタと小型ファンは必須。
- ガラス製のためそこそこ重量がある。
- カメレオン飼育用として使うためにはかさ上げ等の工夫が必要。
水槽で飼育できるカメレオンの種類
大型、中型種の飼育にはあまり向きませんが、網ブタとファンを取り付けたり、かさ上げをすればヒメカメレオン等の小型種や赤ちゃんカメレオンの飼育に向いています。
6.プラスチックケース
特徴は?
よく昆虫を飼育する時に使われているアイテムです。
しかし、多くのカメレオンの飼育には向いておらず、湿度を好むヒメカメレオンやコノハカメレオン等の小型種の飼育や卵の孵卵に用いられることが多いです。
プラスチックケースのメリット
- 値段が安く、とても軽い。
- 湿度を保ちやすい。
プラスチックケースのデメリット
- サイズ的に小型種以外のカメレオンにはあまり向かない。
- 傷付きやすく、割れやすい。
プラスチックケースで飼育できるカメレオンの種類
サイズもケージの中では小さめで湿度を保ちやすいプラスチックケースはカメレオンの中でも湿度を好む小型種であるヒメカメレオンの飼育やカメレオンの卵の孵卵、赤ちゃんカメレオンの飼育に向いています。
7.ガラス温室
特徴は?
植物の栽培にも使われている事もあり、高さも広さもあるケージです。
ガラス製品とあって湿度を保ちやすいですが、温室の側面をパンチボードやメッシュに切り替える事で通気性の良い温室にする事もできます。
しかし、熱がこもりやすいという温室特有のデメリットがあるため、ヒーター等の温度をコントロールするサーモスタットのセンサーを温室の上部に設置して温度が上がり過ぎないようにする必要があります。
ガラス温室のメリット
- ケージ内が広く、高さもあるためカメレオンの活動範囲が広くなる。
- 側面のパーツを変える事で通気性を良くできるため、殆どの種類のカメレオン飼育に利用できる。
- レイアウトによっては湿度勾配がつけられる。
ガラス温室のデメリット
- とにかく大きいので、設置すると場所を取ってしまいやすい。
- 値段も高価。
- 大きく、重量がある。
- 熱がこもりやすいため、サーモスタットのセンサーを上部に設置して温度が上がり過ぎないようにする。
- ヒメカメレオンの仲間や赤ちゃんカメレオンにとっては広すぎてしまい、餌取りや水飲み場探しに苦労させてしまう。
ガラス温室で飼育できるカメレオンの種類
側面のパーツを取り替える事で10cm未満の小型種以外であれば、殆どの種類を飼育できます。
8.専門店オリジナルケージ
特徴は?
メーカーによる既製品ではなく、お店で作ってあるケージがあります。
専門店が作ったケージであるため扱いやすく、それぞれのオリジナリティもあり、専用ケージとして作られた物もあるためカメレオンの飼育にも向いています。
オリジナルケージのメリット
- 爬虫類の専門店が作っているため、まず間違いない。
- 取り扱いもしやすい。
オリジナルケージのデメリット(?)
- ショップによって少々ケージに違いがあるため、どれを購入しようか悩む。
- オリジナル故にそのショップでなければ購入できない。(通販で対処可能)
オリジナルケージで飼育できるカメレオンの種類
サイズも様々取り揃えているため、サイズを選べば殆どの種類を飼育できます。
カメレオンどころかオリジナルケージの種類によっては樹上性の爬虫類から地上性の爬虫類の飼育まで幅広く適応しているため、どのケージにするか悩んだら専門店のオリジナルケージを選択するという堅実な考え方もあります。
9.自作ケージ
特徴は?
時間はかかりますが、自分のこだわりとカメレオンへの思いをたくさん詰め込んだケージを自作するという方法もあります。生体の性質や使い勝手も考えて作るため、作れれば恐らく一番しっくり来るケージとなるでしょう。
自作ケージのメリット
- 生体の性質と自分の使い勝手を考えて作るため、扱い易い。
- 材料さえ用意できれば自分でケージのサイズを変えていくらでも作れる。
自作ケージのデメリット
- 作る側の器用さやセンスが問われる(筆者は皆無)。
- 保温力や保湿力を高める工夫が必要。
- ケージ作りに慣れるまでは完成までに時間がかかる。
自作ケージで飼育できるカメレオンの種類
自作なので飼育するカメレオンに合わせて作られるため、作り方によってはどんな種類のカメレオンも飼育できます。
ジャクソンカメレオンを飼いたければ通気性の良いケージを作り、パーソンカメレオンを飼いたければ湿度と通気性、どちらも保てるケージを作りましょう。カメレオン愛好家の中には飼育に使っているケージの殆どを自作したという方もいます。
10.衣装ケース
特徴は?
私達人間が衣服やタオルなんかを収納するあのケースです。
ケースの底にヤシガラを敷いて、フタの部分をメッシュや網ブタにすればヒメカメレオン等の小型種を飼育できます。
また、衣装ケースのサイズに合わせて枠組みを作り、網を被せる事で赤ちゃんカメレオンの飼育ケージとして成り立ちます。
水槽よりも値段が安く、軽いので扱い易いという特徴がありますが、プラスチックなので傷が付き易く、水槽と比べて生体の確認がしづらいというデメリットがあります。
衣装ケースのメリット
- 値段が安く、軽いので扱いやすい
- 飼い主の視線を遮るため、カメレオンへのストレスが少ない。
- ガラス製ではないので割れにくい。
- かさ上げ加工をすれば赤ちゃんカメレオンも飼育できる。
衣装ケースのデメリット
- プラスチックケースや水槽と違って生体の確認がしづらい。
- 傷が付きやすいため、ケース内に傷が付いてささくれ立つとカメレオンのケガの原因になりやすい。
- 湿度がこもりやすいため、フタをメッシュや網ブタにしたり、ファンを取り付ける必要がある。
衣装ケースで飼育できるカメレオンの種類
一般的なカメレオンは衣装ケースでの飼育に向いていませんが、ヒメカメレオンのような小型で湿度を好み、あまり動きの少ない種類や赤ちゃんカメレオンの飼育に向いています。
11.放し飼い
特徴は?
満を持して「部屋」という名のケージの登場です。
カメレオンに一部屋丸ごと与えるという太っ腹な方法です。
部屋なのでカメレオンもかなり広いスペースを移動でき、レイアウトによっては縦横無尽に歩き回って自分のお気に入りの場所でくつろいでいたりします。
温度はエアコン、湿度は加湿器でまとめて管理する事もできます。
愛好家の中には実際に部屋にロープや木の枝等をレイアウトしてカメレオンの放し飼いをしている方もいます。
カメレオンがコンセントや家具にイタズラをしてしまったり、フン等の排泄物でカーテンや床、家電を汚してしまいます。また、餌が逃げてしまうとある日物陰からひょっこり出てきて驚かされる事があります。
放し飼いはロマンと理想が詰まっていますがやはりメリットとデメリットがあります。
放し飼いのメリット
- 広いのでカメレオンも好きなように移動できる。
- 部屋と家電によっては湿度も温度も一緒に管理できる。
放し飼いのデメリット
- 部屋が汚れやすいので掃除をこまめにする必要がある。
- カメレオンが家電やカーテンにイタズラをしてケガをする可能性があるため対策が必須(特にコンセント)。
- 広い空間のため、ヒメカメレオンのような小型種や赤ちゃんカメレオンには広すぎて負担になる。
放し飼いで飼育できるカメレオンの種類
殆どのカメレオンが飼育できると思いますが、種類によってはかなり高い湿度や通気性が必要な種類もいるため、本当に一部屋与えるつもりでないと後悔してしまうかも知れません。
また、広すぎる環境だと、ヒメカメレオンや赤ちゃんカメレオンが餌を探したり水飲み場を探すのに苦労してしまうためこちらは不向きだと思います。
まとめ
今回はカメレオンの飼育スペース「ケージ」についてご紹介させていただきました。
放し飼いについては難しい部分もあると思いますが、
ジャクソンカメレオンやパンサーカメレオンが部屋にレイアウトされたロープや木の枝を歩き回る姿はカッコいいですし、カメレオンにとっても良い運動になります。
一部の活発な種類のカメレオンはケージの中でも動き回りますが、たまにケージから出して部屋を歩かせたりすると新しい世界に緊張しながらもトコトコと歩き、緊張が解けるとコードやカーテンに登ってみたりと彼らなりに(?)外の世界を楽しんでくれます。
今回はケージについてご紹介しましたが、
これにレイアウトをすることでカメレオンの生活スペースの完成となります。
「カメレオンはカメレオンの飼育をする」という言葉がありますが、
ケージ選びはカメレオン飼育の最初のステップのような気がします。