私たち人間や犬、猫などの哺乳類やインコなどの鳥類は恒温動物なので自分で体温を高く保つ事ができます。
しかし、カメレオンやヤモリといった爬虫類やカエル、イモリなどの両生類は変温動物なので体温を自ら作り出す事ができず、環境に頼らなければいけません。
今回は、カメレオンを始めとした爬虫類、両生類のための保温について皆様にご紹介させていただきます。
1,保温ってどうして必要なの?
冒頭でも触れましたが、爬虫類、両生類、魚類は「変温動物」に分類されており、これらに共通する特徴として「環境を利用して体温を調整」する事が挙げられます。
そのため暑くなれば水に浸かりに行ったり気温が低い冬などは代謝が下がり、冬眠をする事もあります。つまり、彼らは「省エネ動物」という事です。
これは飼育する場合も同じで、ヒーターや保温球などで暖めてあげる必要があります。
2,保温の方法について
保温の方法ですが、主にエアコンで一室管理する方法か、ヒーターなどを使って保温する方法があります。
エアコンによる保温のメリット・デメリット
〜エアコンによる保温のメリット〜
- 一室全体を暖められるので多頭飼育に向いている。
- 同じ環境・温度が好きな種類であれば丸ごと保温できる。
- 気温を変更しやすい。
〜エアコンのデメリット〜
- 飼育しているのが好む環境がバラバラな種類だと一室管理できない。
- 電気代が高い。
- エアコンのメンテナンスが大変。(特に内部)
ヒーター、保温球による保温のメリット・デメリット
〜ヒーター、保温球のメリット〜
- 1つずつ取り付けるので単独飼育向き。
- 配置によって涼しいエリアと暖かいエリアを作れるため飼育している個体が自分で体温調整をしやすい。
- エアコンより電気代が安い。
〜ヒーター、保温球のデメリット〜
- 多頭飼育をしていると商品によってはケージ1つ1つに取り付ける必要があるためその分出費がかさみやすい。
- 配置を考えないと火傷や熱中症の原因になってしまう。
- 寿命があるため買い換えが必要。
主にこれらが挙げられます。
3,保温器具の種類について
保温器具の一長一短が分かったところで早速ショップに買いに行こうと思ったら種類が多過ぎて迷ってしまう方もいらっしゃるかと思います。
①パネルヒーター
パネルヒーターとは下敷きのように薄い形状のヒーターです。使い方としてケージの下に敷いたり、壁面に張り付けて設置します。
サイズも多く取り揃えられており、主にヤモリやヘビ、イモリなどの飼育でよく使われています。
サーモスタット機能もある事から簡単に温度調整がしやすいため、初めて爬虫類を飼育する方にもオススメの保温器具です。
しかし、薄くて広範囲を暖められるメリットがあるものの、極端に温度が低い場所で使うとパワー不足で温度が上がりきらないというデメリットがあります。
Q,どうして底面全体を暖めてはいけないの?
A,全体を暖めてしまうと体を冷やす場所がなくなってしまうからです。
爬虫類は確かに代謝を上げるためにも体温を上げる必要がありますが、ケージ全体が暖められてしまうと体を冷やす場所がなくなってしまい、逆に体調を崩す原因になってしまいます。
カメレオンの場合はヒメカメレオンなどの地表種は蒸されてしまって体調を崩してしまったり、ヘビなどは体を冷やす場所を見つけられず、お腹を低温火傷してしまう事があります。
②ベルトヒーター
ベルトヒーターとは柔軟性のある薄いシートのようなヒーターです。
前述したパネルヒーターに似ていますが、ベルトヒーターは長さが特徴で1m以上の長さがある商品もあります。
使い方はケージの下に敷いたり、壁面に張り付けて使います。また、長いため多頭飼育にも向いており、ケージのサイズにもよりますが、複数のケージの下に敷いて使うことでまとめて保温する事ができます。
③ワイヤーヒーター
ワイヤーヒーターとは、まるで針金のような形状の保温器具です。
ショップによりますが、実際に使っているところも少なくありません。金属製のヒモ部分が熱されて保温するタイプで、ケージの下に設置して使います。
こちらも販売していない場合もあったり、使う際にはケージを置く場所を金属製の台にする必要があったりと初心者には使いづらいのがデメリットです。
④保温球
保温球とは、別売りになっているソケットに取り付けて使うタイプの保温器具ですが、最近ではソケットとセットで販売されている事があります。
昼用と夜用があり、昼用は光が出たり紫外線も出るため乾燥した地域に生息する種類やカメレオン、ヒルヤモリなどにもピッタリです。ですが、光が出るので夜間の保温に使う事はできません。
夜間用はブラックライトのようなタイプや赤外線タイプがあり、爬虫類が視認しにくい光の波長なのでお休みタイムの保温として使います。こちらは明るい光が出ないので保温はできても昼間に使うには不向きです。
⑤セラミックヒーター
セラミックヒーターとは、こちらも別売りのソケットに装着して使うタイプの保温器具です。
どちらかというとペットショップでインコや文鳥のヒナの保温に使われている事が多いですが、角度や距離に気を付ければ爬虫類飼育にも使う事ができます。
⑥観賞魚用ヒーター
観賞魚用ヒーターとは、使う種類は限られますが、水生種の爬虫類や両生類の飼育に使います。
⑦暖とつ
暖とつとは、ケージの上部に設置する珍しいタイプの保温器具です。樹上性が強い種類のケージの保温に向いています。
4,カメレオンの保温について
カメレオンは爬虫類の仲間の中でも低い温度に強い種類が多かったりします。
ベーメカメレオンやホーネリーカメレオンなどの高山に生息している種類はむしろ高温に弱い事が多く、通気性の高さと温度配分がかなり大切になってきます。
高山種のカメレオンの場合は、むしろ思いきって夜間は保温しない、または20℃前後を保つようにするといった方法が良い場合もあります。
ペペ君の場合は夜間はエアコンで20℃ほどの保温にしていましたが、かなり元気良く過ごしてくれていました。
■マダガスカル産カメレオンに見られる症状!?
マダガスカルには実に多くの種類のカメレオンが生息しています。パーソンカメレオンやウスタレカメレオン、パンサーカメレオンもマダガスカル産のカメレオンです。
そんな彼らの保温事情ですが、昼間と夜間の気温差と湿度差のメリハリがついていないと体調を崩しやすいという話があります。
症状には個体差があり、肺炎のようにゼーゼーと呼吸が荒くなってしまったり、マウスロットのような症状が出てしまう事があるそうです。
■高山種は自然では寒さとも戦っている!
ホーネリーカメレオンやジャクソンカメレオンなどの高山種は、飼育環境も通気性のある他の爬虫類より涼しげな環境を再現する必要があります。
そんな彼らは気温の低い高山で生き延びるために寒さに強くなり、繁殖方法は卵胎生という方法をとっています。
しかし、それでも生き抜くには厳しい世界であり、朝には朝露で喉を潤し、体を広げて体色を黒くして日光を吸収して体温や代謝を上げます。
昼間はバッタやイモムシなどの昆虫や小さな哺乳類や爬虫類も捕食し、再び日光を浴びて消化を促進させます。
しかし、問題は夜間です。
彼らが生息している高山地帯は日が沈むと一気に気温が下がり、マイナスになる事もあると言われています。マイナスの気温は普通の爬虫類は冬眠に入っているか耐えきれずに死んでしまいます。
カメレオンは冬眠をしない爬虫類であるため、彼らは気温が下がりきる前に比較的暖かい木の茂みなどに入って夜間の冷気を乗り切るのです。
これは赤ちゃんカメレオンの時も変わらず、自然界では必死に夜間の寒さを凌ぐために木の茂みに移動していきますが、移動が遅れてしまった個体は次々と冷気の中で命を落としてしまうのです。
まとめ
今回はカメレオンを始めとした爬虫類達の保温について皆様にご紹介させていただきました。
爬虫類飼育において保温は大切な事の1つであり、保温が不安定だったりしっかり暖められていないと体調を崩してしまいます。また、暖めすぎてしまっても火傷の原因になってしまうため、保温器具の設置方法や保温器具の種類も気を付けながら飼育する必要があります。
特にカメレオンの場合は保温球の距離や角度によっては触ってしまって火傷をしてしまったり、目に炎症を起こしてしまう事もあるので注意しましょう。