ショップ見かけやすいカメレオン達をご紹介!
カクカクとした動きに360度を見渡す高可動域を持つ眼、長く伸びる舌、色彩を変える体…。
そんな珍獣・カメレオンは、ペットとして日本に輸入されています。
ペットショップや爬虫類専門店で販売され、見かける機会も増えています。
中には世界情勢や保護の観点から輸入がなくなってしまった種類もいますが、マダガスカルやアフリカの一部の国からワイルド個体が輸入されています。また、世界中のカメレオン愛好家達の努力によって繁殖に成功した個体も輸入されています。
1. 見かけやすいポピュラーな種類
カメレオンの中でもペットショップや爬虫類専門店で見る機会が多い種類です。
・エボシカメレオン
- 別名:ベールドカメレオン
- 全長:40〜60cm前後
- 生息地:サウジアラビア南西部やイエメン。アメリカのフロリダ州に帰化しているとの噂も。
ペットとして流通しているカメレオンの中でも最も見かける機会が多い、人気も高くポピュラーな種類です。
繁殖(ブリーディング)も進んでおり、主に国内外で繁殖された個体が流通しています。品種改良もされており、体色の青みを強くした品種や体の一部が白色化した「パイド」という品種がいます。かつては全身真っ白な個体も産まれていたようです。
幼体の頃は華奢な見た目をしていますが、成長するとオスは頭部のカスクが高く伸び、名前の通り「烏帽子」をかぶったような堂々とした姿になります。メスはオス程カスクが伸びませんが、それでも立派な姿に成長します。
主な体色は青みがかった明るい緑色ですが、周囲の環境や気分によって体色を変えます。成長したオスは不規則に黄色いバンドとドット模様が入り、メスも黄色いバンドとドット模様が入りますがオス程派手ではありません。
カメレオンの仲間では珍しく、成長に伴って植物質の餌を食べる習性があります。
・パンサーカメレオン
- 別名:パルダリスカメレオン
- 全長:30〜40cm前後
- 生息地:マダガスカル北部。モーリシャスやフランス領のレユニオン島に帰化しているという噂も。
前述のエボシカメレオンより小さいですが、頭や胴体も太く、しっかりとしているため体格では負けていません。頭部のカスクは緩やかに高くなり、後頭部の辺りで1番高くなります。背中と腹部には短いトゲ状のウロコ(クレスト)が、頭部からしっぽの方にかけて一直線に並んでいます。
エボシカメレオンと同じくらいポピュラーな種類で、大型の総合ペットショップや爬虫類専門店で見る事ができます。主に繁殖された個体が流通されていますがワイルド個体も入荷されています。
流通名の「パンサー(ヒョウ)」はこのカメレオンが興奮すると、体色を派手に変え、大きく口を開けて「ファーッ!」という噴気音を発する事から来ています。また、学名の「パルダリス」も「ヒョウ」の意味があると言われています。
この威嚇時には、個体によってしっぽで体を支えて後ろ足で立ち上がる独特なファイティングポーズを取ることもあります。また、テリトリー意識が強いため単独飼育が基本です。
生息地域によって体色が大きく変わる事でも有名な種類で、最もポピュラーな「ノシベ産」の個体群は目が覚めるような鮮やかな青緑色の体色が特徴です。また、「サンバーバ産」の個体群は黄色い体色に赤色のバンドが現れる陽気な色を発色します。
・カーペットカメレオン
- 別名:ラテラリスカメレオン
- 全長:20〜28cm前後
- 生息地:マダガスカルの広い範囲に生息しています。
パンサーカメレオンの仲間である「フサエカメレオン」に含まれるカメレオンです。
流通名の「カーペット」ですが、興奮した時や妊娠したメスが発色する「妊娠色」が高級品で知られるペルシャ絨毯のように美しいためこのように呼ばれるようになったという説が有力です。普段は明るい黄緑色に白い一本線が入ります。
前述された2種と違い、流通されている個体の多くはマダガスカルからのワイルド個体です。そのため2種と比べると常にショップで見られる種類ではありませんが、マダガスカル便が入荷した時にその中にいる事があります。稀に「マジョール産」という珍しい産地の個体もいます。
2. ショップでもちょっと珍しい種類
大型の総合ペットショップや爬虫類専門店で見られる種類です。入荷が少なく常に見られるという訳ではありませんが、それに見合った魅力を兼ね備えています。
・ジャクソンカメレオン
- 流通名:メルモンタヌス・ジャクソンカメレオン、キサントロプス・ジャクソンカメレオン、レインボージャクソン等
- 全長:20〜35cm前後
- 生息地:タンザニア、ケニア。アメリカのハワイ州に帰化しているという噂も。ハワイの個体は「ハワイアンジャクソン」と呼ばれる事もあります。
ジャクソンカメレオン最大の特徴と言えば、恐竜・トリケラトプスを思わせる頭部に生えた3本の角です。メスは角がなかったり、鼻先に短い角があったりと個体によって様々ですが、オスは長くて立派な3本角を持っています。
体色はジャングルに溶け込む黄緑をしています。
中には緑色の体に幅広い黄色のラインが入る種類もいます。
性格はデリケートな部分が多く、あまり見つめているとストレスになってしまいます。
今ではタンザニアが野生動物の輸出を禁止しているため、ワイルド個体は殆ど輸入されてきません。また、海外で繁殖された個体が輸入されてきますが、流通個体数は少ないので、大型の総合ペットショップや爬虫類専門店でも常に見られる種類ではありません。
ジャクソンカメレオンは胎生種である事でも知られています。妊娠したメスは卵ではなく、羊膜に包まれた状態の赤ちゃんを出産します。産まれた赤ちゃんは自力で羊膜を破り、一匹で暮らすようになります。
・エリオットカメレオン
- 別名:マウンテンサイドストライプドカメレオン
- 全長:10〜13cm前後
- 生息地:ブルンジ、ウガンダ、ルワンダ、ケニア西部、タンザニア西端部等のアフリカ大陸。
オスメス共に角がありませんが、
前述したジャクソンカメレオンを含む「ミツヅノカメレオン」の仲間です。
喉元のには3本の溝があり、この部分は黒色なので緑色の体色に良く映えます。
ペットショップや爬虫類専門店でも常に見られる種類ではありませんが、稀に入荷する事があります。ショップによってはツイッターやブログ、HP等で紹介している事もあるので気になる方は要チェックです。実際に目にすると想像以上に小さく感じられるカメレオンでもあります。
海抜1800〜2800m以上という標高の高い場所に生息しているため、暑い環境はあまり得意ではありません。また、寒暖差が激しい場所に生息している事から昼間は温かく、夜間は気温を大きく下げて寒暖差を作ったり、ライト点灯時に霧吹きをして朝霧を再現する事が飼育のポイントになっています。
小さな体ですが、ジャクソンカメレオンと同じ胎生種です。
妊娠したメスは、2〜18匹程の赤ちゃんカメレオンを出産します。
・ベーメカメレオン
- 全長:16〜19cm前後
- 生息地:ケニア南東部にあるテイタ山脈と言われています。
オスには鼻先にギザギザした板状の2本の角が生えており、その体色は明るい黄緑色に雲が連なったような独特の白い模様、それを囲むよう茶色の枠のような模様があります。肌も不思議な質感で、細かなウロコの体表が所々ひび割れたように見えます。背中の上半身部分には小さなクレストが並びます。
メスはオスより小さく華奢で角がありませんが、鼻先に小さなウロコの盛り上がりがあります。オスのような複雑な体色はありませんが、全身キレイな若葉色をしており、頭部のカスクだけレンガ色の帽子をかぶっているかのような配色です。クレストはとても小さいですが、背中を良く見るとちゃんとあります。
高地に生息しているため、暑い環境は得意ではありません。飼育にはエリオットカメレオンのように昼夜の気温に温度差を作ったり、ライト点灯時に霧吹きをして朝霧を再現する等の工夫が必要です。
高地に生息している種類のため、人間を目にする機会は殆ど無いはずの彼らですが、私が今まで出会った個体は全て人間を恐れず興味を持って近付いて来る個体ばかりでした。
それもあって、私の中のベーメカメレオンは「好奇心旺盛」のイメージがかなり強いです。
性格は大人しく、ペアを一緒のケージで飼育できる程です。
しかし、オス同士だと2本の角をぶつけ合って激しく争います。
・ヒメカメレオンの仲間
- 別名:ブロケシア
- 全長:2〜10cm
- 生息地:マダガスカル
動きが遅いカメレオンの中でもかなり動きの少ない種類でもあります。この仲間には世界最小の爬虫類「ブロケシア・ミニマ」も含まれており、その大きさはなんと2〜3cm程の大きさしかありません。
その見た目は、背中にトゲのような突起物が並んだりクレストの目の上の突起部分が発達していたりと、かなり角張った見た目をしており、落ち葉や枝に擬態するのに適した体つきをしています。また、強いストレスを受けたり敵に補食されそうになると「死んだフリ」をしてやり過ごそうとします。
日本には主にマユダカヒメカメレオン、シュトンプフヒメカメレオン等が輸入されてきます。
3. マニア垂涎のレア種
1. ヒゲコノハカメレオン
- 別名:ヒゲカレハカメレオン、タンザニアピグミーカメレオン
- 全長:4〜6cm前後。極稀に9cm程の大きさの個体もいるという噂も。
- 生息地:タンザニア、ケニア(アフリカ大陸)
口の下部分に一本だけ小さなクレストがちょこんとあります。
枯れ葉に溶け込む体色は灰色〜茶褐色で、体側に一本の太めのラインが一直線に入ります。
興奮すると眼や頭部に褐色のラインが数本浮かび上がります。前述したヒメカメレオンと違い、コロコロとした体型をしており、おまけのようについてある短いしっぽが可愛らしい種類です。
数年前までは比較的頻繁に流通しており、小さくて可愛らしく、飼いやすく、値段も安かった事から非常に人気のあるカメレオンでした。その当時は一匹5000円程の値段でした。
しかし、今ではサイテス種に昇格してしまった事とタンザニアの輸出がなくなってしまった事から見る機会は殆ど無くなってしまい、奇跡的な入荷の際は以前の数倍の値段になりました。
2. パーソンカメレオン
- 全長:45〜60cm
- 生息地:マダガスカル北部と東部の深い森林。
体表は滑らかでありながら、ゾウやサイ等の「厚皮動物」を思わせるような重厚な見た目をしています。
体色はターコイズブルーや明るい緑色をしています。
いくつかのカラーパターンが知られており、眼がオレンジ色になる「オレンジアイ」や口元だけ黄色い口紅を引いたような「イエローリップ」がいます。
マダガスカルに生息しているカメレオンですが、
入荷がかなり少なく、飼育難易度が高いためマニア垂涎の種類となっています。
3. マルテカメレオン
- 別名:ゾウミミカメレオン、エレファントイヤーカメレオン、グリーンイヤーカメレオン
- 全長:25〜30cm前後
- 生息地:マダガスカル北東部
後頭葉(ローブ)が大きく、ゾウの耳のようになっています。
このローブは威嚇やケンカの時に開く事もあります。
体色は明るい緑色に黒の網目模様が入ります。
眼の部分が青く発色する事もあり、まるでブルーベリーのようだと言う飼育者もいます。
オスは鼻先に一本の短い角状の突起がありますが、
メスにはこれがなく、鼻先が少し盛り上がるくらいです。
入荷は殆ど無い珍しい種類のカメレオンで、
爬虫類専門店の中でもカメレオンに特化したお店でなければ見る事はかなり難しいです。
オス同士のケンカがかなり激しい事でも知られており、
口を大きく開けたり、頭部を激しく振って戦います。
負けたオスは急いでその場から逃げ去りますが、中には枝から飛び降りる個体もいると言われています。
4. ヒレニウスカメレオン
- 別名:ウォーターカメレオン
- 全長:14cm前後
- 生息地:マダガスカルの中央部
体表はキメが少々粗めで所々丸く小さな飾りウロコが散らばっています。背中からしっぽの中腹くらいまで小さなクレストがあります。体色は濃い目の緑色、灰色、茶褐色です。
別名に「ウォーター」とありますが、水に濡れるのが他の種類より気にしないだけであって、ウミイグアナのように水に積極的に入る訳ではありません。しかし体を浮かせて水を泳ぐことは多少できるようです。
まとめ
ここで紹介した種類以外にも魅力的なカメレオン達はたくさんいます。
他にも宝石を散りばめたような体色を表す種類もいれば、砂漠に生息している変わり者の種類もいます。
存在自体が不思議な生き物ですが、
その不思議さ、独特さこそカメレオンの魅力の一つであり、素晴らしさだと思います。