カメレオンの給水方法について!
カメレオン飼育の中でかなり気を遣うポイントの1つが「給水」です。
カメレオン用の給水器も普及していますが、1匹1匹個性があり、性格も違うカメレオン達です。
- 「給水器を取り付けたのに飲んでくれない」
- 「何故か脱水症状が出てる…」
という事も少なからずあります。
今回はそんな「カメレオン達の給水方法」についてご紹介させていただきたいと思います。
1,カメレオンの給水が難しい理由とは?
犬や猫、モモンガやウサギ、ヘビやオオトカゲなどの多くのペット達は大抵水入れや給水器を認識し、設置すればそこから水を飲んでくれます。
しかし、カメレオン達はなかなか給水器や水入れを認識してくれず、脱水症状が出てしまう事があるのです。
その性質とは、カメレオン達は「動き」がなければ認識できないというものです。
自然の中で生きてきたカメレオン達の周りには常に何らかの「動き」があります。
風に揺れる枝や葉っぱ、朝露の輝き、こぼれ落ちる雨粒、獲物となる虫達…。
視角からの情報に大部分を頼るカメレオンにとって、
ニオイや触り心地ではなく「動き」の有無はかなり大事な要素になっています。
そして、カメレオン達の給水は、このキラキラと輝く朝露や雨粒を飲んでいるため、動きの無い水入れや給水器を設置すると水があるとは認識できず、飼育者側も相当運が良くない限り、水を飲んではもらえないという結果を招いてしまい、カメレオンの飼育難易度を上げる要因となっているのです。
2,カメレオンの給水方法のご紹介
カメレオンにはいくつかの給水方法があります。
・ドリップボトル
コーヒーを淹れる道具に聞こえそうですが、カメレオンなどの爬虫類用給水器です。
製品によって見た目に多少の違いがありますが、水を入れたボトルをケージの上に設置し、ボトルから伸びているチューブから水をポタポタと垂らして動きをつける事で水を飲ませるアイテムとなります。
中には観葉植物や人工植物などの葉に滴が付くように設置して視認性を高める方法もあります。
★ドリップボトルの注意点★
ポタポタと水を垂らす事で水を認識させるドリップボトルですが、意外と水の消費が早かったり、個体によってはタイミングを上手く取れずに水が満足に飲めず不貞腐れてしまう場合もあります。
そのためドリップボトルのみではなく、水受けにエアレーションをして動きをつけ、ボトル以外からも水が飲めるようにしましょう。
・エアレーション+水入れ
とてもシンプルなやり方ですが、意外と視認性が良いです。
観賞魚用品で購入できるエアチューブ、プラストーン、エアポンプを使います。
水入れはどんな物でも良く、飼育している個体の大きさに合わせてプラケースやタッパーも利用できます。ちなみに我が家では100均のコップを使っています。
人工植物などのレイアウトに飛沫が付くように設置したり、
鳥カゴ飼育の場合は金網寄りに設置すると金網を掴みながら水を飲む姿を見る事ができます。
★エアレーション+水入れの注意点★
シンプルなのに意外と汎用性の高い方法ですが、カメレオンがエアチューブを掴んでしまい、チューブが外れてエアーが入らなくなると視認性が悪くなって水を飲まなくなってしまう事があります。
そうならないために、エアチューブをビニタイや結束バンドを使って固定しておくとズレをかなり抑制する事ができます。
また、あまり底の深い水入れを使うと小型種や幼体の場合は水入れに落ちて溺れてしまう可能性もあるので容器の大きさには十分注意しましょう。
・霧吹き
ケージ内の湿度を保つために使う霧吹きも、カメレオンの給水アイテムになります。
観葉植物や人工植物、レイアウトアイテムに霧吹きをして水滴を作るとカメレオン達はペロペロと滴を飲んでくれます。
★霧吹きの注意点★
霧吹きはあくまでもケージ内の湿度を上げたり補助的な給水方法として認識しておきましょう。
また、脱皮中の個体の体に霧吹きをしてしまうと脱皮不全の原因にもなってしまうため、使うときは観葉植物や人工植物に吹き掛けるようにして個体に水をかけないように注意が必要です。
・犬猫用、爬虫類用自動給水器
最近では専用の容器に水を入れ、
電源を入れるだけで水が循環するタイプの給水器が販売されるようになりました。
今までは犬猫用が主流でしたが、爬虫類用の物も販売されるようになり、そちらの方は岩から水が流れるような雰囲気で、犬猫用より自然な印象があります。
★犬猫用、爬虫類用自動給水器の注意点★
視認性も高くカメレオンの反応も良い給水器ですが、他の給水器や給水方法と比較して費用がかかる事と、電源との距離に注意が必要です。
場合によっては延長コードを使う必要もあるため、コードの長さも把握するようにしましょう。
・スポイト、シリンジ
ペットショップやホームセンターに売っているスポイトやシリンジもカメレオンの給水アイテムとなります。
カメレオンの目の前でポタポタと水を垂らすと寄ってきてペロペロと水を飲んでくれます。樹上性のトカゲやヤモリもスポイトやシリンジから水を飲んでくれる事があります。
★スポイト、シリンジの注意点★
ピンポイントで水を飲ませられるスポイトですが、個体の性格によっては怖がって水を飲まない場合があります。その時は無理せず別の方法で給水するようにしてください。
また、カメレオンは特殊な舌の構造をしているため少しずつゆっくりと水を飲みます。あまり早く水を与えても口から溢れてしまい、結局ほとんど飲めずに終わってしまうためカメレオンの飲むペースに合わせて少しずつ飲ませてあげましょう。
♪実はこんな使い方も♪
カメレオンや樹上性トカゲの仲間の中にはかなり水を飲む種類もいます。
ヨツヅノカメレオンやカルンマカメレオンの仲間達はその傾向があり、しっかり水を飲んでいる個体であってもスポイトから水を垂らすと反応する事があるそうです。
また、ヒメカメレオンやコノハカメレオンのような地上性カメレオンの目の前で水滴を作ってみたり滴を垂らしたりすると水を飲んでくれたりします。
スポイトは扱い方次第で水が足りているか、ちゃんと飲めているかのチェックにもなり、水が飲めていなければ給水アイテムにもなるので1つは必ず持っておきたいアイテムです。
・自作の給水器
給水器はペットボトルやエアチューブを使って自作する事ができます。
愛好家の中には給水器を全て自作している方もいます。
★自作給水器の注意点★
自作した物は使い勝手が良いのですが、ちゃんと作れなくては元も子もないという大前提があります。
慣れれば簡単に作れるようですが、
工作が苦手な方は既製品や別の方法で給水をしましょう。
・観賞魚用パワーフィルター
意外かも知れませんが、パワーフィルターも給水アイテムとして使う事ができます。
ある程度の深さや大きさのある水入れが必要で、
中〜大型種に向いており、犬猫用自動給水器のように水を循環させる事で給水します。
★パワーフィルターの注意点★
パワーフィルターはどうしても最低限の水量や水位が必要という事もあり、水入れも大きめになってしまいます。そのため、溺れたり水に流される事故の予防として、小型種や幼体に使うのは控えた方が無難です。
また、動かすには電源が必要なので場合によっては延長コードの準備も必要です。
・ミスティングシステム
湿度を保つ用に使われているミスティングシステムも給水の役割があります。
補助的な事が多いですが、時間や散水量の設定ができるため、
水をよく飲む種類のカメレオンや樹上性爬虫類にも効果的です。
★ミスティングシステムの注意点★
ミスティングシステムは散水の時間や量を細かく設定できるのが魅力的ですが、費用が高めな事と、その時間になるまでは水が飲めない事がネックとなります。
そのためミスティングシステムと別の給水方法を併用して水が飲めない時間帯を無くすようにしましょう。
☆番外編!エボシカメレオンの場合☆
カメレオンの仲間の中でもエボシカメレオンは草食性が強いのが特徴です。
消化を促進させるバスキングスポットが必要ですが、小松菜や豆苗、トマト、イチゴなどには水分も多く含まれているため、食べるようであれば食べさせてあげましょう。
Q,植物質を食べるカメレオンはエボシカメレオンだけなの?
A,エボシカメレオン以外にも植物を食べる種類はいます。
小松菜や豆苗などの植物質の餌を食べる種類として有名なカメレオンは「エボシカメレオン」ですが、カメレオンの仲間の中には他にも植物質を食べる種類がいます。
野生下のパンサーカメレオンは、降水量が少ない乾季に植物の実などを食べて水分を摂る事があるようで、愛好家の中にはメロンなどの果肉を与える方もいます。
また、ナマクアカメレオンは砂漠に生息するカメレオンですが、その過酷な環境下で生き抜くために植物を摂取して水分や栄養をまかなっています。
エボシカメレオンほど積極的に植物質の餌を食べるという訳ではありませんが、ちょっとした豆知識として心に留めておいても良いかも知れません。
このように様々な給水方法がありますが、
どれか1つだけ使うのではなく、別な方法を併用すると良い結果が得られやすいです。
基本的に水入れから水を飲みますが、スポイトで滴を見せると飲みに来たりもするため、確認していても「水を見せる」という行動が脱水防止に繋がるのではないかと思います。
3,もし脱水状態になってしまったら?
給水器があるのに飼育している個体が水を飲まずに脱水状態になってしまったらスポイトやシリンジで少しずつ水を飲ませます。
★給水の注意点★
先ほどもご紹介した通り、カメレオンはゆっくりと水を飲みます。それは口の中の舌が蛇腹状に折り畳まれて収納されているためで、一気にたくさん水を飲む事ができないのです。
そのためカメレオンに水を飲ませる時は「少しずつ、ゆっくり」と与えなければなりません。
また、脱水状態が軽く、自分で口を開けてスポイトから飲んでくれる場合は良いのですが、自分から口を開けれない個体の場合は「舌の上」に水を少し含ませるようにして与えます。
勢い良く水を流し込んでしまうとむせてしまったり最悪な場合は気道に入って窒息してしまう事もあります。
水を飲めないほど弱っている場合は動物病院に連れていきましょう。
4,脱水状態のサインについて
カメレオンの脱水状態は「サイン」で確認する事ができます。
<div class=”concept-box5″><p>【威嚇?病気?】カメレオンが見せる仕草・体色の変化を18のサインで徹底解説!</p></div>
・目がへこむ
脱水状態以外にも体調不良やストレス、環境が悪い時にも見られるサインです。
目にいつものハリがなくへこんでいるように見えたらスポイトなどを使って近くで水を垂らしてみましょう。
・目を閉じている
目を閉じるのはかなり危険な状態です。
脱水状態の他に体調不良の可能性もあります。
・口を開けたり、呼吸が荒くなっている
ケージ内の気温が高かったり呼吸器系の病気の可能性もありますが、脱水状態の時にも見られるサインです。
・舌が伸びない
給餌の時に見られるサインです。
舌がちゃんと伸びなかったり餌に上手く吸い付かないのは水分不足の可能性があります。
スポイトやシリンジで水を垂らした時に反応があれば脱水状態だった事が分かります。
5,給水に便利なアイテムについて
ここでは給水場所を設けるために給水器を設置したいのに、場所がどうしても限られてしまうという状態をある程度解消する方法をご紹介させていただきます。
・棚
ケージや鳥カゴ飼育の中で自動給水器などを使うと、どうしてもケージの下部に設置しがちです。わりと活発な種類であれば下部に設置した水入れからも水を飲んでくれますが、中には下部まで降りてこない個体もいます。
小さめのウッドデッキや金網で棚を作って設置場所を高くしてあげると給水器から水を飲んでくれる可能性が高まります。
また、鳥カゴの場合は鳥カゴに設置できるタイプの棚もあるのでそれを利用すると高い位置に給水器を置く事ができます。
・小鳥用の餌入れ
小鳥用の塩土や餌、水を入れるための容器もカメレオンの給水器として応用する事ができます。
容器に針金が付いているタイプが使いやすく、鳥カゴ飼育の場合は高めの位置に針金部分を引っかけ、エアレーションをする事で給水器として使えます。
・人工ツタ、人工植物など
自動給水器や水入れに多少深さがある場合は人工ツタや人工植物などを入れて陸地に出られるようにレイアウトすると、これらを掴んで水入れや水受けから直接水を飲んでくれる事もあります。
まとめ
今回はカメレオンの給水方法について、皆様にご紹介させていただきました。
水を飲ませる事が他の爬虫類より難しいと言われているカメレオンですが、意外にも解決方法が多い事が分かっていただけたのではと思います。
性質を知る事で対処方法は編み出せます。カメレオンの給水に悩んでいた方や、樹上性爬虫類の給水方法のレパートリーに困っていた方の手助けに慣れたなら私も幸いです。