カメレオンを始めとするトカゲやヤモリなどの仲間は本来自然の中で様々なものを捕食して生きています。
ネズミなどの小動物や野菜、果実、小鳥、虫など、捕食している生き物はたくさんいるのですが、飼育下だと普通に餌を与えているだけではどうしても栄養価に差が出てしまうため、それを補うために「サプリメント」を使います。
1,本当に必要?爬虫類用サプリメント!
今では飼育しやすいと言われ人気が伸びつつある爬虫類ですが、かつては飼育が難しいと言われていました。
湿度、気温、隠れ家、飲み水などの要因もありましたが、餌の問題もかなり大きかったのです。
確かに餌用のコオロギやゴキブリは販売されているのですが、その栄養価は野生の昆虫より低いと言われています。
そのため何もせずに与えてしまうとカルシウムやビタミンなどの栄養素が不足してしまうため長期飼育が難しいと言われていました。
⭐野生の餌となる生き物は様々な物を食べている!
コオロギやバッタ、イモムシにしても野生の生き物は多くの食べ物を口にしています。ビタミンが豊富な葉や果実、他の生き物の肉、骨などを食べるため、その体の中には栄養素が詰まっているのです。
⭐ヘビはサプリメントいらず!?
ネズミの天敵として知られているヘビは他の爬虫類よりクル病になりにくいと言われています。
その理由は餌となっているネズミが、彼らにとっての完全栄養食だからという説があります。
ヘビは獲物を丸呑みにするため、獲物の中の血肉や骨、内臓などを余す事なく消化吸収するのでカルシウムやビタミンD不足に陥りにくいのだそうです。また消化できない毛などはフンを固めて出すための素材になるとも言われています。
⭐変わり者のヘビにはサプリメントが必要!
ヘビの中には「変態ヘビ」と呼ばれるグループがあります。「変態」と言っても何かに変身する訳ではありません。彼らは普通のヘビとは違い、食性が変わっている事が多いです。
例えば「ハナナガムチヘビ」や「オオアオムチヘビ」はヤモリや小型のトカゲを捕食するタイプですし、「ムスラーナ」はヘビを好物にしています。
大変珍しい「クイーンスネーク」は脱皮したてのザリガニやカニなどの甲殻類を捕食するため飼育難易度が飛び抜けている事もあります。
これらは健康的な餌が定期的に手に入れば何とかなりますが、「サンドスネーク」や「ラフアオヘビ」などの「昆虫食」の場合はサプリメントが必要です。
2,どうやって摂取させる?サプリメントの与え方について!
サプリメントの与え方は主に2つあります。
1つは餌となる昆虫や肉などに「振りかけて」与える方法。
もう1つは「飲み水に溶かして」から与える方法です。
カルシウムサプリメントの場合はパウダー状の商品がほとんどですが、ビタミン剤の場合はパウダー状のタイプと液体タイプがあります。
パウダータイプやスプレータイプは与える餌に軽くまぶしたり、振りかけて使います。
液体タイプの場合はダイレクトに飲ませるのではなく、飲み水に溶かして与えます。
⭐サプリメントにも好き嫌いがある!?
カメレオンやヒルヤモリなどを飼育してきて筆者が感じるのは、個体によってサプリメントに好き嫌いがあるという事です。
特にビタミン剤は匂いや味にクセがあるのか嫌がる事があり、いくつかの商品を買い揃えて使っていました。
ちなみに苦手な味だと餌を咥えた後に口から離し、床材などで拭ったりします。
⭐まぶさない方法もある!
筆者は爬虫類は性格の個体差が多いのも魅力の1つだと思います。
特に餌の種類にこだわりを持つ子もおり、コオロギの種類から与え方も工夫しないと食べない場合もあるので、それを考えるのも飼育の大変なところであり面白さでもあります。
そんな中、一部の種類については餌にまぶさずサプリメントを与えられる方法が話題になりました。
ヒョウモントカゲモドキ(レオパ)やニシアフリカトカゲモドキ(ニシアフ)の場合は小さな容器にカルシウムパウダーなどのサプリメントを入れてケージ内に設置しておくと、自分で舐めて摂取するようです。
3,どんなのがある?サプリメントのご紹介!〜カルシウム編〜
爬虫類用サプリメントの種類は大きく分けてカルシウム、ビタミン剤、整腸剤があります。
その中でもカルシウムは最もポピュラーなサプリメントであり、丈夫な骨を作るために必要な栄養です。
①月夜野ファーム 「マルベリーカルシウム」
カルシウムサプリメントの中でも桑の葉(マルベリー)をたっぷりと含ませた商品です。
筆者宅ではこの商品を主に使っており、桑の葉の爽やかな香りがカルシウム特有の匂いを打ち消してくれるため嫌がる素振りもなく食べてくれています。
また、この商品にはカルシウムだけでなくビタミンや鉄分、各種ミネラルなどが豊富に含まれています。
②マルベリーinカルシウム
「自然工房あまぷれファーム」発のカルシウムパウダーです。
パウダーがきめ細かいため少しの量でもまんべんなく餌にまぶす事ができます。
③GEX EXOTERRA「カルシウム+ビタミンD3」
カルシウムの吸収を助けるビタミンD3が配合されているタイプのサプリメントです。
過剰摂取を避けるために普段は「GEX EXOTERRA カルシウム」を使い、月に1〜2回この商品を与える事でバランス良くカルシウムを摂取させる事ができます。
④ポゴナクラブ 「爬虫類牧場パウ 炭酸カルシウム」
純粋なカルシウムパウダーなので毎日の給餌に使う事ができ、ビタミン剤や整腸剤とも合わせて使う事ができるオールラウンダーな商品です。
⑤ビバリア 「レップカル カルシウムビタミンD3入り」
カルシウムの吸収を助ける働きがあるビタミンD3を配合されたサプリメントです。
粗めタイプと微粒タイプの2種類があり、リクガメやイグアナ、トゲオアガマのように野菜や果実を食べる種類には粗め、昆虫や肉を食べる種類には微粒タイプがオススメです。
内容量も多いので、1つ購入するだけでもしばらく持つコストパフォーマンスも魅力です。
⑥スドーRX-61 「ハープクラフト カルシウムパウダー」
炭酸カルシウムオンリーというとてもシンプルなサプリメントです。
粒子が非常に細かいため、湿気があると固まりやすいのが欠点ですが、少しの量でもまんべんなく餌にまぶす事ができるので筆者も愛用しています。
⑦Charm 「沖縄県産サンゴ微細カルシウムパウダー」
ここであらゆるペット事情、趣味を支えるCharmブランドの登場です。
沖縄県産のサンゴの骨格を微細なパウダーにした事でカリウムや鉄、亜鉛などが自然なバランスで含まれているサプリメントとなっているだけでなく、商品によって栄養価が高いニンジンやパパイヤ、ホウレン草、カボチャなどを配合した物もあります。
Q,カルシウムパウダーはどんな風にまぶせば良いの?
A,やり方は色々ありますが、虫の場合は全身に軽くカルシウムパウダーが付着するくらいにします。
カルシウムパウダーは餌や人によってまぶし方が少々異なります。
モニターやテグーなどの肉食性が強い大型種の場合は餌として与える肉類にカルシウムパウダーを付属のスプーンで掬ってかけ、その後トングなどで混ぜてから与える事もあります。
また、リクガメやトゲオアガマなどの野菜を食べる種類に与える時はスプーンで掬ったカルシウムパウダーを野菜の盛り合わせの全体に振りかけてから与えます。
昆虫の場合は別容器にカルシウムパウダーと昆虫を入れて軽く振り、全身に軽くまぶされていれば良いです。
しかし、生きてる虫にまぶした場合は食べられるまで霧吹きはしないようにしましょう。
カルシウムパウダーを身に纏った状態で霧吹きを浴びてしまうと水に溶けたカルシウムパウダーが気門を塞いでしまい、餌の虫が死んで視認性が落ちてしまいます。
4,どんなのがある?サプリメント!〜ビタミン剤編〜
爬虫類飼育の中でカルシウムはとても重要な要素として知られていますが、ビタミンについてはあまり注目されない事があります。
骨を作るのに欠かせないカルシウムに対し、ビタミンは代謝の促進や皮膚や粘膜、血管などの健康を保ってくれる働きがあります。
①テトラ 「レプチゾル」
以前本ブログにて爬虫類がかかりやすい病気である「マウスロット」の初期症状や対策に定評があるアイテムとして紹介しました。
飼育下で不足しがちな各種ビタミンを配合した液体タイプのビタミン剤で、飲み水に溶かして与えます。
爬虫類にビタミン欠乏症は目が開かなくなったり代謝が悪くなって不活発になったり様々な症状が現れますが、定期的に飲ませる事でそれらを予防する効果が期待できます。
②GEX EXOTERRA 「マルチビタミン」
パウダータイプの総合ビタミン剤です。値段が安いだけでなく、過剰摂取による悪影響を防ぐためにビタミンA不使用でβカロチンを使っているため安心感があります。
匂いは乾燥海藻ミールが含まれているため、若干の酸味の中にとろろ昆布感が否めませんが、カルシウムパウダーに少量混ぜて与えると意外と拒絶も少ないという特徴があります。
③パピエ・シー 「ネクトンREP」
ビタミン剤と言うよりはカルシウムも含めた「総合栄養補助サプリメント」です。
昔から多くの爬虫類・両生類愛好家に使われている実績のあるアイテムで、リクガメだけでなく長期飼育が難しいと言われているエリマキトカゲの飼育にもオススメです。
④ビバリア 「レップカル マルチビタミン ハープディバイト」
パウダータイプのビタミン剤で、普段の食事で偏りがちなビタミンやミネラルを補う事ができます。
また、過剰摂取による中毒症状を起こす危険性があるビタミンAを使用せず、βカロチンを使っているので安心して使う事ができます。
⑤ポゴナ・クラブ 「爬虫類牧場パウ 総合ビタミン」
量も多く、飼育下で不足しがちなビタミン類を補う事ができる商品です。
コストパフォーマンスも良いのですが、ブドウ糖と米糠をベースにしているためほのかに甘味があります。
この甘味がビタミン特有の味をまろやかにするのか、爬虫類だけでなく両生類にも受けが良いです。
⑥ポゴナ・クラブ 「レオパビタミンウォーター」
スプレータイプの珍しいビタミン剤で原材料はビタミンAと水分というシンプルな商品です。
ビタミンAも過剰摂取の恐れから不足しがちな面がありますが、目や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力をつける働きがある他暗闇での視力を保つ働きもあります。
⑦KBファーム 「虫にかける粉」
分かりやすいネーミングが素晴らしい商品で、こちらもビタミン剤と言うよりは総合栄養サプリメントに近いです。
「餌用昆虫を完全栄養食に変える」事をコンセプトにしており、ビタミンやカルシウム、ミネラルだけでなくアミノ酸やコラーゲンまで配合しているトンデモ商品となっています。
5,どんなのがある?サプリメント!〜整腸剤編〜
飼育下の爬虫類達は確かに色んな物を食べさせるのですが、飼育環境や与えた餌によっては便秘や消化不良を起こしてしまう事があります。
少し前まではヨーグルトを少量与えるなどして対処していましたが、今では爬虫類用の整腸剤も販売されるようになり、より安心して飼育がしやすくなったのです。
①ベンリーパック食品 「レプラーゼ」
乳酸菌や酪酸菌、ビール酵母、タンパク質分解酵素などが配合された整腸剤で毎日の給餌にも使える安心安全なサプリメントです。
パウダータイプは餌にまぶし、水溶タイプは飲み水に溶かして与えます。
筆者宅でも使っており、レプラーゼを与えた後のフンはコオロギやレッドローチの硬い脚も細かく分解されているのが分かります。
②アクシズ 「乳酸菌ゼリー(10個入り)」
フクロモモンガなどの小動物やリクガメなどの爬虫類、餌用昆虫やオカヤドカリ用のオヤツとして作られた商品です。
ゼリーなので肉食性が強いモニターなどが食べるかは分かりませんが、リクガメやヒルヤモリ、オウカンミカドヤモリなどの甘い物が大好きな種類にはオススメです。
カメレオンの場合はゼリーを食べるという話は聞いた事がありませんが、爬虫類に与える事も想定されているため、エボシカメレオンなどは慣らせば食べるかも知れません。
6,サプリメントを与える時に注意する事について
サプリメントは飼育下で不足しがちな栄養素を補う事ができますが、給餌の時に毎回使って良い物とそうではない物があります。
純粋なカルシウムパウダーと整腸剤は給餌の度に与えても特に問題はありませんが、ビタミンD3を含むサプリメントは1週間に1〜2回に使用を留めた方が良い場合もあります。
確かにビタミンD3はカルシウムの吸収を助け、非常に危険な疾患である「クル病」を予防する効果が期待できますが、与えすぎてしまうと逆に健康を害してしまい、食欲不振や不整脈の原因になってしまいます。
また、酷い場合はカルシウムの血中濃度を上昇させ過ぎてしまい、組織の石灰化による臓器へのダメージが懸念されています。
まとめ
今回は健康に飼育するための爬虫類用サプリメントについて皆様にご紹介させていただきました。
爬虫類はペットとして少しずつ世界的にも浸透しつつあり、飼育方法の改善や新たな商品が生み出されています。
そんな中で爬虫類達の健康を守るために作られたカルシウムパウダーやビタミン剤などのサプリメントは、爬虫類飼育の必須アイテムであり、希望の1つでもあるのです。