現在のカメレオンの入荷状況について
昔は飼育が難しかった爬虫類と言われていたカメレオンですが、
今では愛好家達の努力によって飼育方法も確立してきてペットとしてジワジワと浸透してきました。
ここで気になるのが「現在の入荷(輸入)状況」です。
時代の移り変わりや世界の状況によって輸入が途絶えてしまった種類がいるのも事実です。
1,カメレオンの昔と現在について
カメレオンはその不思議な見た目から人気が高かったのは昔も変わらなかったようですが、オオトカゲや蛇等の爬虫類と違って飼育方法が確立しておらず、「すぐ死んでしまう」と言われていた事もありました。
入荷状況も悪い事が多く、かなり弱っていた個体も多くいたと言われており、立ち上げすらままならない事もあったそうです。
しかし、物珍しさからか輸入されてくる種類はかなり多く、中には現在お迎えが不可能だったり激レアだった事もありました。
現在ではカメレオンの輸出方法がかなり改善されたため、昔と比較しても状態が悪い個体が少なくなり、飼育方法や生態も理解が深まって立ち上げも可能となりました。
2,現在の輸入状況について
2021年現在の輸入状況は個人的に言うと「あまり良くない」、自然保護の観点なら「良い状況」と言った感じです。
と言うのも、カメレオン達の故郷であるマダガスカルやタンザニアで自然保護のため輸出が制限、停止されているからです。
タンザニアは数年前からカメレオンや他の動物達の輸出を止めており、コノハカメレオンやフィッシャーカメレオン等のタンザニアに生息している種類はしばらく姿を見ていません。
マダガスカルに関しては焼き畑や伐採等の生息環境の破壊や他国への密輸が問題となっており、特に密輸問題はかなり悪質だったようで2020年まではまだ輸出してもらうための許可的な物が使えましたが、今ではかなり厳しくなってしまっているようで今後野生採取個体を見かける機会が減ってしまう可能性があります。
☆諦めないで!希望はまだある!
先ほどは野生採取個体を見かける機会が減る可能性を述べましたが、愛好家の方々の中にはかつて日本に輸出されてきた稀少なカメレオンの繁殖に成功している方もいらっしゃいます。
また、世界各国で繁殖されている種類もおり、そちらもペットショップに入荷してきます。
3,現在見かける事ができるカメレオンの種類
①エボシカメレオン
「初心者にオススメ」「初めて飼育するカメレオン」の代表格が立派なカスクを持つエボシカメレオンです。
国内だけでなく海外からもブリード個体が入荷されて来るので最も見かける機会の多いカメレオンとも言えます。
幼体が入荷する事も多く、爬虫類専門店ではまだ烏帽子を被っていない、あどけない表情のエボシカメレオンがたくさん入荷している事もあります。
その見た目は「塔の上のラプンツェル」に登場するカメレオン・パスカルに良く似ています。
②パンサーカメレオン
ロカリティーも多く、その分カラーバリエーションも豊富で見た目も「The カメレオン」と言える高い人気を誇るカメレオンです。
ブリード個体が出回る事も多いですが、ワイルド個体も入荷する事も多いため、カメレオンに特化しているショップに行くとロカリティーごとに分けられて飼育され、その体色の違い等を見比べながら好みの個体を選ぶ楽しみがあります。
ちょっと気が強いカメレオンでもあり、怒ると派手な体色に変化し、口を大きく開けて「ファーッ!」と威嚇します。
③ジャクソンカメレオン
3本角を持つ恐竜を思わせる見た目をしているカメレオンで、その見た目から高い人気があります。
④セネガルカメレオン
アフリカ産のカメレオンで、エボシカメレオンと同じナミカメレオンの仲間です。
見た目は「特徴が無いのが特徴」と言いたくなりますが、全身が綺麗な黄緑色や黄色に染まり、全長25cm前後という可愛らしい大きさをしています。
⑤ベーメカメレオン
頻繁に見かけるという訳ではありませんが、フタヅノカメレオンの仲間でほぼ唯一国内に入荷されてくる種類と言えます。
昔は同属である「タベタカメレオン」と混同されていましたが、今では独立してタベタカメレオンより認知度が高くなってきました。
⑥ウスタレカメレオン
マダガスカルからやってくる「最長クラスのカメレオン」です。
体重はパーソンカメレオンより軽いため最大種ではありません。
パンサーカメレオンの仲間でありながら比較的穏やかな性格をしており、多頭飼育もできるカメレオンです。
体色はカメレオンの中では地味な部類に入りますが、どこか落ち着いた繊細な色彩からは確かに美を感じます。
4,かなり辛抱強くまてば現在でもお迎えできる種類
先ほどまでは比較的入荷されていて見かける機会の多い種類を幾つかピックアップしてご紹介させていただきました。
①パーソンカメレオン
全長の長さはウスタレカメレオンに軍配が上がりますが、体重の重さは全カメレオンの中で最も重いため「最大種」とされているカルンマ属のカメレオンです。
7〜8年前は普通に見られていましたが、最近では入荷が少なくなってなかなかその姿を見られません。
湿度や風通し等の生息環境の再現が難しいため飼育難易度が高いとされていますが、飼育に慣れるとかなり長寿な種類としても知られており7年も生きる個体もいるため長い付き合いを楽しむ事ができます。
②スパイニーカメレオン
激おこでおはよー
調子上がってきたかな#スパイニーカメレオン pic.twitter.com/DlUCfL6lM5— とげる (@togeru33) May 27, 2018
パンサーカメレオンと同じグループにいるカメレオンです。
性格はパンサーカメレオン以上に荒々しいと言われており、その見た目の鋭い背部クレストと見事にマッチしています。
こちらも幾つかカラーバリエーションが知られており、頭部が真っ赤に染まる個体や「ブルースロート」と呼ばれる喉のデュラップが青く染まる個体もいます。
③ホーネリーカメレオン
ケニアンホーネリー入荷してます
明日アクアフェスティバルに連れて行きます#trioceroshoehnelii#ホーネリーカメレオン #ヘルメットカメレオン pic.twitter.com/uNl6slCLiJ— ORYZA オリュザ (@oryzareptile) June 12, 2021
「ヘルメットカメレオン」「ヘーネルカメレオン」の別名があるカメレオンで、角が無いけど「ミツヅノカメレオン」の仲間に含まれています。
10年前は爬虫類専門店で購入できましたが、今ではほとんど入荷した話を聞きません。しかし、カメレオンに特化したショップでは入荷があるようで「ウガンダホーネリーカメレオン」と言う流通名で販売されています。
④エリオットカメレオン
こちらも角が無いのにミツヅノカメレオン属に含まれる小型種です。大きさは最大20cm程ですが、基本的にはペペ君より小柄(18cm以下)か同サイズくらいです。
⑤ピーコックカメレオン
「ピーコック(孔雀)」を意味する名を持つカメレオンで、興奮すると孔雀の羽のように派手な体色に変化します。
よく似た種類に「セラータスカメレオン」がいますがこちらも非常に美しい体色をしているためマニア垂涎の種類です。
⑥ヒメカメレオンの仲間達
マダガスカルに生息している大きくても10cm前後しかない小型カメレオンで、他のカメレオンとは違って地表で暮らしています。
そのためか体表や体色は枯れ枝や枯れ葉に紛れるような見た目をしており、動きもかなり不活発で擬態にかなり力を入れている種類です。
高めの湿度を好む面がありますが、ストレスにかなり弱くビックリすると死んだフリをする事もあります。
5,現在では入荷が無いカメレオン
昔と違ってお国事情で輸入が無い、あるいは止まってしまったカメレオンの一部をご紹介させていただきます。
①コノハカメレオン(カレハカメレオン)の仲間達
ヒメカメレオンのように全長10cmにも満たない小型カメレオンです。
地表〜低木の茂みで生活しており、一部の種類を除いてオマケのように付いた短い尻尾と枯れ葉や木葉の擬態に適した体色という特徴があります。
コノハカメレオンのほとんどの仲間がタンザニアに生息しており、ヒゲコノハカメレオンはケニアにも生息していると言われていますがタンザニアの自然、動物保護のために長年輸入が途絶えている状況が続いています。
10年前まではかなりポピュラーなカメレオンで、かなり安価で迎え入れられるだけでなく、飼育もしやすいカメレオンでした。
②フィッシャーカメレオン
タンザニアに生息しているフタヅノカメレオンの仲間で、最大40cm程にもなる大型種です。
ギザギザした2本の角を持ち、背中には棘状のクレストがあります。協調性が良いカメレオンなので複数飼育も可能という素晴らしい性格の持ち主でもあります。
かなり活発な種類でもあり、動き回るだけでなくジャンプする事もあると言われています。
③ヒレニウスカメレオン
水を他種のカメレオンより恐れず泳ぐ事ができるため「ウォーターカメレオン」という別名を持つマダガスカル中央部の高地に生息しているカメレオンです。
④ルディスカメレオン
アフリカの広い範囲に生息しているとされるカメレオンですが、ここしばらく入荷の話を聞かないカメレオンでもあります。
体型はコロコロしており、黄緑〜青緑色の体色に白の細いラインや黄色い帯が入りとても可愛らしい種類です。
⑤ミノールカメレオン
雌雄で体色がかなり違うという特徴があるカメレオンで、こちらもマダガスカル中央部の高地に生息しています。
6,まさに!奇跡のカメレオン
「もう2度と入荷しないかも…」という種類もいるカメレオンですが、愛好家やショップの方の努力によって繁殖に成功し、その一部の種類がショップに入荷する事があります。
①ペッターカメレオン
「ペッテルズカメレオン」と呼ばれる事もあるカメレオンでパンサーカメレオンの仲間でありながら鼻先に2本の角を持っています。
全体的に丸っこいフォルムをしており、角先も丸みを帯びている他、妊娠したメスは全身鮮やかな黄色に変色する特徴があります。
以前紹介した時に解説しましたが、カメレオン愛好家の努力によってペッターカメレオンの繁殖が成功した話があります。
②ハチノスカメレオンの仲間達
ほとんどが20cm前後しかない小さなカメレオンなので、「ドワーフカメレオン」と呼ばれています。
激レアも激レアで、カメレオンに特化したショップですら入荷は稀な種類で、私も爬虫類の即売会イベントでしか実物を見ていません。
喉に生えている小さくてヒラヒラしている部分、体側の大きめな飾りウロコや背中のクレスト、後半に行くに従って少し高くなるカスク等とにかく他の種類とは一線を画する特徴満載のカメレオンです。
③ヨツヅノカメレオン
ヨツヅノカメレオン、ジョージ君です。 pic.twitter.com/ekbiOGtzDS
— ノンキ (@jojishoji1228) May 20, 2015
以前にも「角系カメレオン」として紹介させていただきましたがこちらも奇跡のカメレオンです。
しばらく入荷の話を聞かない種類でしたが、ペッターカメレオンと同じく熱心なカメレオン愛好家の方々の努力によって国内繁殖が成功し、僅かながら流通しています。
☆激レア種をお探しの方へ
「激レア」と言うくらいなので、なかなか巡り逢えない事も多い訳ですが、爬虫類専門店やカメレオンに特化したショップに相談したり入荷情報をこまめにチェックしていると奇跡が起こる事があります。
その場合は、そのお店にお問い合わせをして売約をつけてもらったり、最寄りのイベントに連れて来られないか聞いてみるとお迎えしやすくなります。
6,まとめ
今回は大分変わってしまったカメレオンの入荷状況について皆様にご紹介させていただきました。
以前にカメレオンの種類は紹介記事を執筆いたしましたが、10数年前と現在を比べると世界情勢や自然保護の観点等が大きく変わっているので、かつて当たり前のように見られた種類も入荷されないという状況が続いています。
しかし、入荷が無くても国内で繁殖した個体が僅かながら流通してくれる事は非常に喜ばしい事です。その熱意、飼育技術は本当に感服いたします。
また、現在は逆に激レア種が入荷する事もある等、夢がある状況でもあります。
この先カメレオンの入荷状況がどのようになって行くかは正直私には検討もつきません。