カメレオンに似た見た目、能力がある爬虫類のご紹介!
キョロキョロと広範囲を見渡す事ができる眼、一瞬で獲物を捕らえる長い舌、周りの環境や気分によって変わる体色等、多くの不思議で変わった特徴を持つ爬虫類・カメレオン。
そんな彼らとよく似た特徴や能力を持つ爬虫類達が大自然の中には存在しています。
今回はカメレオンではないけれど、
カメレオンのような爬虫類達をご紹介させていただきます。
1,まずはおさらい!カメレオンの能力とは?
カメレオンのような特徴を持つ爬虫類達のご紹介の前に、
サラッとカメレオンの特徴についておさらいしたいと思います。
本当にサラッとなので、より詳しく知りたい方は以前カメレオンの体の特徴等をまとめた記事をブログにアップしていますので、そちらを参照していただければより理解が深まるかと思います。
①体色の変化
カメレオンと言えば外せない「体色変化」ですが、これは完全にどんな色にでもなれる訳ではなく、周囲の環境にある程度体色を近付けて環境に溶け込んだり、興奮や恐怖等の気分で体色を変えたりします。
②長い舌
カメレオンは長い舌を瞬時に伸ばして獲物を捕らえるという独特の狩りのスタイルをしています。
この舌は口の中では蛇腹状に折り畳まれた状態になっているため、水を飲む時はヘビやトカゲのように水をがぶ飲みするというよりは水を舌に含ませながらゆっくり飲むという感じです。
③広範囲を見渡す眼
動物園やペットショップ等でカメレオンを見ると、常に両目をバラバラに動かして周囲の確認をしている様子を観察できます。
この能力によってカメレオンに死角はほとんどなく、天敵や獲物の早期発見等に役立っています。
④長い尻尾
尻尾に関してはヒゲコノハカメレオンやヒメカメレオン等の例外がありますが、樹上生活をしている種類のほとんどが長い尻尾を持っています。
この尻尾はかなり筋肉質で、樹上でバランスを取ったり、枝に巻き付ける事で命綱の役割も果たすカメレオンにとっての「第5の手足」です。
尻尾はとても大切な役割を持っているためトカゲやヤモリのように自切する事はありません。
⑤掴み特化の手足
カメレオンの手足は同じように樹上生活を送っている他の爬虫類とはかなり構造が変わっています。
枝に食い込む鋭い爪と強靭な握力のある手足は指が外側に3本、内側に2本という構造になっており、まるでトングのようです。
この手足の握力と爪のスパイク力はかなりのもので、野生下では樹上を吹きすさぶ強風にも耐え、飼育下では素肌を捕まれると爪でケガをする事もあるため注意が必要です。
今回ご紹介するよく似た特徴を持つ爬虫類達は、この中でも眼と見た目、体色変化がかなりカメレオン寄りです。
種類は違うけど厳しい自然の中で生き抜く上で、似たような能力や形態へと進化する事を生物学では「収斂進化(しゅうれんしんか)」と呼びます。
2,カメレオンによく似た特徴を持つ爬虫類のご紹介
お待たせいたしました。
いよいよカメレオンっぽいけどカメレオンではない爬虫類達のご紹介です。
①カメレオンモドキの仲間達
画像引用元:thatguy_ramonskie様のInstagramより
もう既に名前に「モドキ(擬き)」って付いている程カメレオンによく似た見た目と特徴を持つ爬虫類です。
カメレオンモドキの仲間は5種類が知られており、全てが中米の「キューバ共和国」という国の固有種と言われています。大きさは20〜30cm前後です。
頭部は大きくしっかりしているためかなり目立ちます。胴体は大きな頭部によって小さく見えますが、よく見ると意外と太く、その体表は大小様々な大きさの円形のウロコが不規則に並んでいます。
体色は灰〜灰色がかった薄緑色をメインに首と背中、尻尾に黒〜薄墨色のバンド模様が表れます。
喉と尻尾の背中側にはトゲトゲギザギザした突起も並んでおり、カッコいいです。
そんなカメレオンモドキのカメレオンっぽい所は「眼」です。
カメレオンモドキも本家・カメレオン達と同じように左右バラバラに動く眼を持ち、それで周囲を確認しています。
また、体色も変化させる事ができ、パンサーカメレオンのようにカラフルではありませんが体色を暗くしたり明るくしたりとカメレオンっぽい雰囲気があります。
ペットショップでは「バルバータスカメレオンモドキ」と「ポルカスカメレオンモドキ」が主に流通しますが入荷はどちらも稀なので見る事ができたらかなりラッキーです。
☆カメレオンモドキの正体は?
パッと見は頭でっかちなカメレオンに見えますが、その正体は「アノール」という樹上生活を営むトカゲの仲間です。
○カメレオンモドキの性格は?
カメレオンモドキ達はビックリする程おっとりとした性格をしています。実際にペットショップで見かけ、ハンドリングをさせて貰った時ですらのんびりと動き、その子の性格も相まって「好きにして」状態でした。
♪好物は雨上がりによく見る「アイツ」
カメレオンモドキは飼育下ではカルシウムパウダーをまぶしたコオロギを与えられる事が多く、おっとり過ぎてコオロギに逆襲されないように飼育者様の中にはコオロギの頭を潰し、さらにピンセットで口元に持ってきて与えるというパターンもあります。
カメレオンモドキはのんびりおっとりしていますが顎の力がかなり強く、噛まれれば当然ケガもします。
②カメレオンモリドラゴン
画像引用元:aquastage_518様のInstagramより
何だかRPGの強力なモンスターっぽい名前の爬虫類ですが、見た目も迫力満点です。
「カメレオンフォレストドラゴン」と呼ばれる事もありますが森林ステージのボス敵っぽさが増します。
インドネシアやマレーシアの熱帯雨林に生息しており、全長は40cm前後と前述したカメレオンモドキより大きい種類です。
頭部から尻尾の付け根までギザギザのクレストがあり、鋭い目付きと樹上生活に役立つ鋭い爪を持つ手足、長い尻尾が特徴的です。
特にオスはクレストや喉にある「咽頭垂」が発達するため成長すると重厚感が出て野性味溢れるドラゴンといった雰囲気が出て来ます。
そんなカメレオンモリドラゴンのカメレオンっぽい所は「体色の変化」です。
見た目は全くカメレオンに似ていませんが、体色変化が著しく、環境に合わせるだけでなく気分でも体色を変え、状態が良い子は非常にカラフルな体色に変わるとされています。
☆カメレオンモリドラゴンの正体は?
厳つい見た目のカメレオンモリドラゴンは「アガマ」というトカゲの仲間です。
このアガマの仲間には爬虫類界のアイドル的存在である「フトアゴヒゲトカゲ」や同じく「ドラゴン」が名前にある「インドシナウォータードラゴン」等が含まれています。
○性格は?
カメレオンモリドラゴンの性格はかなり繊細らしく、急に暴れたり急に大人しくなったりと感情の起伏が激しいようです。
また、動き回る事は少なく、ジッとしている事が多いとされています。
オス同士だと威嚇しあったりするため飼育は単独かペアになります。
♪餌は虫でも良いけれど…
カメレオンモリドラゴンは肉食性なのでコオロギやデュビア等の虫で飼育できるようですが、とても繊細な種類のため給餌してもなかなか食べてくれない事もあるそうです。
③イロワケヤモリの仲間
画像引用元:y.sasakiiiii様のInstagramより
前述した2種類よりカメレオン感が無い名前をしていますが個人的に特徴がカメレオンに似ていると感じたのでご紹介させていただきます。
中南米に生息する小型のヤモリの仲間で壁に登るのではなく地表を主な生活圏にしている種類です。
時々低木や岩に登ったり地表に積もった枯れ葉等の堆積物の中に潜り込む等かなり行動力のある昼行性のヤモリでもあります。
最大種でも10cm前後、よく似た更に小型種の「チビヤモリ」の仲間は全長3cm程という驚きの大きさです。
そんな彼らのカメレオンっぽい所は「体色の変化」と「眼の動き」です。
イロワケヤモリの仲間やチビヤモリの仲間は体色が美しい種類が多く、マニアには堪らないヤモリなのですが、怖がっていたり環境が暗いと体色を暗くする事があります。
☆イロワケヤモリの性格は?
とても大人しい性格をしており、スペースさえ確保できればオス同士でも飼育できる程の高い協調性があります。
○飼育下でも繁殖可能!?
イロワケヤモリの仲間は元気なペアで飼育していると産卵する事があるようです。
産卵する時ヤモリの仲間のほとんどが卵を2個産むのですが、イロワケヤモリはまん丸の白い卵を1個産みます。
ヒルヤモリやトッケイのような壁チョロ系ではないため、卵は壁等に張り付けるのではなく物陰にコロンと産み落とします。
この卵を上下ひっくり返さないように隔離して大切にお世話をしていると1ヶ月半〜2ヶ月後には可愛い赤ちゃんが誕生します。
♪餌は小さい虫を!
イロワケヤモリの仲間は実際に見ると分かりやすいのですが体全体が小さいです。
まとめ
今回はカメレオンに似た特徴を持つ爬虫類達についてご紹介させていただきました。
全く違う種類ではありますが、厳しい自然界を生き抜くための進化の過程でよく似た能力を身に付けるという生命の神秘を感じます。
カメレオンも不思議たっぷりで彼らにしかない魅力がたくさんありますが、収斂進化の末にカメレオンのような特徴や能力を手に入れた爬虫類達も魅力に溢れています。
もしペットショップや専門店、エキゾチックアニマルのイベントに行って見つけた時は是非その不思議な姿を観察してみてはいかがでしょうか?