ウスタレカメレオンについて
最近エキゾチックアニマルのイベントやYouTubeで新たに飼育し始めたという動画が投稿されて密かな話題になっているウスタレカメレオン。
派手さは無いけど繊細な体色と大きな体が魅力です。
1,ウスタレカメレオンってどんなカメレオン?
ウスタレカメレオンはカメレオンの中で「最長」の種類であり、頭の先から尻尾の先までの長さが1番長いカメレオンです。
体重はカルンマ属のカメレオンであるパーソンカメレオンの方が重いため「最大」ではありません。
記録に残っているサイズは68cmであり、飼育下でもオスは60cm近く成長します。メスはオスより小さく40cm程しかありませんが、それでもパンサーカメレオンのオスと変わらないか、それより若干大きいくらいです。
パンサーカメレオンやカーペットカメレオンと同じ「フサエカメレオン」の仲間であり、カスクは高くハッキリしているため、その厳めしさから「カブトカメレオン」と呼ばれていた事があります。
2,どんな体色?
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— 高松雪乃(ゆきのん)🦎 (@TakamatsuYukino) January 13, 2019
カメレオンの仲間の多くはオスの方が派手で美しい体色を見せますが、ウスタレカメレオンの場合はメスが美しい体色を見せる珍しいカメレオンです。
メスは黒褐色に白や黄色、灰色、黄緑、青灰色等の斑模様を見せますが、「アンカラミーレッド」という流通名の個体は黒地に黄色や赤、オレンジ等の鮮烈な彩りをしています。
オスの体色は主に派手さの無い灰褐色や褐色に白い不規則な斑模様や鹿の子模様が入り、おしとやかな印象を受けます。
3,生息地は?
マダガスカル島のほぼ全域に分布しており、「世界のカメレオン」という本の中で、著者様も「1番よく遭遇したカメレオンであり、マダガスカルで最初に出会った野生のカメレオンでもあった」と語っています。
マダガスカル島は場所によって環境にかなり違いがある島と言われていますが、野生のウスタレカメレオンが確認された記録が多かったのはマダガスカル中央部や西部の荒れた原野と「世界のカメレオン」には語られており、別の場所では民家や森でも見られたそうです。
4,他にどんな名前があるの?
元々学名の「オーストレッティーカメレオン」と呼ばれていましたが、それが何時しか短くなって、「ウスタレカメレオン」と呼ばれるようになりました。
昔は厳めしいカスクから「カブトカメレオン」と呼ばれた事もありますが、今では大きな体から「ジャイアントカメレオン」と呼ばれる事もあります。
5,どんな性格?
基本的に1匹で行動するカメレオンです。
その中でもパンサーカメレオン等が属するフサエカメレオンの仲間は気が強い種類が多いのですが、ウスタレカメレオンは比較的大人しい性格をしています。
その性格からか、同種と一緒のケージに入れてもケンカまで発展しづらいと言われています。
また、「性格が大人しいと動きは鈍そう」というイメージが出やすいと思いますが、ウスタレカメレオンは割りと活発な方であり、周囲の環境に怯む事なく枝を渡っていきます。
6,気を付けるべきポイントは?
ウスタレカメレオンは適応力が高く、丈夫な種類なのでカメレオン初心者にも嬉しいカメレオンです。
1つ目は「握力」です。
ウスタレカメレオンは、その巨躯に見合う強力な握力を持っており、その威力はたまたま掴んでしまった仲間の体を傷付けてしまう程です。
ケガが気になる方は、無理に同じケージで飼育せずに別々のケージで飼育しましょう。
2つ目は「丁寧に扱う事」です。
どの種類にも言える事ですが、生き物は大切に扱わなければなりません。
急に掴んだり無理矢理枝から離そうとすると、大人しいウスタレカメレオンを怒ってしまいます。
カメレオンの武器は大きな口ですが、ウスタレカメレオンの口はカメレオンの中でもトップクラスの大きさです。本気で噛み付かれれば、流血沙汰は避けられません。
3つ目は「風通しが良く広いスペース」です。
ウスタレカメレオンは飼育下でもかなり大きくなるカメレオンです。
狭いスペースで飼育すると、動き回るスペースの無さから次第に動かなくなってしまい、体調を崩す原因になってしまいます。
また、例に漏れず風通しの良い環境を好むため、ウスタレカメレオンの飼育ケージには室内温室の一部をメッシュや網に変えて通気性を良くした物を使ったり、大型ケージを使います。
4つ目は「餌」です。
ウスタレカメレオンは体を維持するために、野生下では昆虫以外にも小鳥や小さなトカゲ、ネズミ等の哺乳類も捕食しています。
飼育下ではコオロギやデュビア以外にも冷凍ヒナウズラや冷凍ヒヨコ、ピンクマウス等も定期的に与えて栄養失調症にならないように注意しましょう。
ウスタレカメレオン飼育に役立つちょっとした情報
1,水を飲ませるには?
カメレオンは基本的に動く物しか認識しないため、水を飲ませるには動きをつける必要があります。
スポイトで水を垂らしてみたり、ドリップシステムを使ってみたり、水入れにエアレーションをして動きを持たせます。
これにプラスしてミスティングシステムを使って定期的に霧吹きをするのも効果的です。
2,繁殖はできるの?
相性の良いペアがいれば繁殖は可能のようで、国内でも少ないながら繁殖例があります。
しかし、ウスタレカメレオンの繁殖は、メスが60個近く産卵する事や、マダガスカル産のカメレオンという事もあって孵卵方法にコツが必要な事、さらに28℃管理でも孵化までに280日かかるというなかなかの難易度となっています。
3,湿度や日光浴は?
ウスタレカメレオンは開けた場所を好む一面があるらしく、湿度は特に気にしないと言われています。
むしろ、日光浴が大好きなので、風通しの良い日陰のある場所でメッシュケージに入れたまま日光浴をさせると良いそうです。
日光浴は以外とすぐに体温が上がるため、ウスタレカメレオンが熱中症にならないように様子を見ながら日光浴を行います。
また、ケージから出たがっている場合も日光浴終了のサインなので、日光浴中は目を離さないようにしましょう。
4,餌の与え方は?
先程ウスタレカメレオンは昆虫以外にも小鳥や小型哺乳類も捕食するため、飼育下でも定期的に与える必要があると紹介いたしました。
この冷凍ヒナウズラやピンクマウス等の冷凍飼料ですが、与える前には湯煎をして解凍し、中まで温めなければいけません。
ラップに包んでお湯を張った容器に浮かべたり、そのままお湯に入れて解凍します。だいたい20分後に取り出し、触ってみて冷たい所がなく全体的に温かいと感じる温度になったらカメレオンに与えます。
また、肉類の消化のためにホットスポットが必要な理由ですが、カメレオン等の爬虫類は食後、体を暖める事で代謝を促進させ、食べた餌を消化、吸収します。
逆に体を暖める場所がないと、食べた餌が未消化になってしまい、せっかくの栄養を吸収できなくなってしまうため体を暖めるホットスポットが必要なのです。
ウスタレカメレオンが小さいうちはコオロギやデュビアでも良く、与える時にはカルシウムパウダーをふりかけてから与え、不足しがちな栄養素を補うようにしましょう。
ちょいメモ:ウスタレカメレオンの印象について
私は実際に飼育した事はありませんが、
最近爬虫類専門店で見かけた事があります。
第一印象はやはり「大きい」という所です。
まだヤングサイズだと言うのに、隣のケージにいるアダルトサイズのパンサーカメレオンのオスとあまり変わらない大きさでした。
それでもパンサーカメレオンのように興奮する事もなく、とても大人しいカメレオンだと感じました。また、マダガスカル島から久々の入荷にも関わらず、値段も比較的安価な気がします。
YouTubeでもウスタレカメレオンを飼育している方がいくつかの動画を上げており、その中で威嚇する姿や噛み付こうとする様子を見た事はありません。ハンドリングの様子を見ても穏やかそのものです。
ウスタレカメレオンの飼育には広いスペースが必要ですが、それさえクリアできれば不思議な相棒になってくれそうです。
★ウスタレカメレオン、実は現地で役に立っている!
大型種であり小鳥やネズミすら捕食するウスタレカメレオンは、現地では「ネズミ取り」として庭先に放たれる事があるそうです。
ネズミは病気の原因にもなるため、それを捕食してくれるウスタレカメレオンはネコと同じようにありがたい動物なのです。
まとめ
今回はカメレオンの最長種であり、ショップやイベントで見かけやすくなったマダガスカル産カメレオン「ウスタレカメレオン」についてご紹介させていただきました。
ウスタレカメレオンは大きな体に穏やかな性格という素晴らしいカメレオンです。
しっかり成長したウスタレカメレオンは迫力もありますし、飼育して楽しい種類だと思います。