カメレオンに与えられる「お肉」について解説
カメレオンに限らず爬虫類の飼育ではコオロギやローチ、ミルワームのような昆虫以外にも栄養をつけさせるために「お肉」を与える事もあります。
この「お肉系」の餌は食べ応えもあり栄養たっぷりなので、与え方や頻度に注意すればとても良い餌になってくれます。
1,そもそもカメレオンってお肉を食べるのか?
カメレオンは基本的にバッタやイモムシなどの昆虫類を捕食しているため、お肉を食べるというイメージは着きにくいかも知れません。
しかし、パーソンカメレオンやウスタレカメレオン、メラーカメレオンなどの大型種は自然下で小鳥やネズミ、小型爬虫類を捕食する様子も確認されています。
2,カメレオンに与えられるお肉の種類について
爬虫類も扱っているペットショップでは爬虫類用に様々な餌を取り扱っています。
コオロギやミルワームのような活き餌やピンクマウスのような冷凍餌も取り揃えられており、専門店ともなると生きたピンクマウスが販売されている事もあります。
〜カメレオンに与えられるお肉の種類🍖〜
・ピンクマウス
マウス(ハツカネズミ)の赤ちゃんです。主に冷凍された状態で販売されていますが、爬虫類専門店では生きた状態のピンクマウスも販売している事があります。
・雛ウズラ
産まれて間もないウズラの雛です。こちらも基本的に冷凍された状態で販売されています。
肉はピンクマウスより少ないですが、ピンクマウスより骨がしっかりしているのでカルシウムも豊富な餌となっています。
・ウズラ
スーパーでお馴染み「ウズラの卵」のウズラです。食通の方だとフランス料理の食材というイメージが強いかも知れません。
・ヒヨコ
お馴染みニワトリの雛です。冷凍状態で販売されており、ウズラの雛より大きく食べ応えのある餌になります。
また、食べづらそうであればキッチンバサミなどで解体してから与えましょう。
・ヤモリ
ちょっと心苦しくなる方もいらっしゃるかも知れませんが、冷凍されたタイプが餌として販売されています。
活きているタイプは「活ヤモリ」「ハウスゲッコー」と呼ばれ、専門店でよく扱われています。
基本的にはハナナガムチヘビのような所謂「トカゲ食い」のヘビの餌として扱われている事がほとんどですが、カメレオンにも与える事ができます。
・鶏レバー・砂肝・鶏肉
鮮度の良いお肉であれば、スーパーや精肉店で販売されているお肉も餌のメニューの1つとして与える事ができます。
その場合はカメレオンがピンセットから活き餌以外も食べてくれるくらい慣れていなければなりません。
〜他の爬虫類に与えられるお肉の種類🍖〜
・マウス(ハツカネズミ)
先ほど「ピンクマウス」をご紹介いたしましたが、マウスには成長・大きさごとに細かく分けられています。
小さい順に「ピンクマウス(さらに分けられS・M・Lサイズに分けられている事もあります)」「ファジー」「ホッパー」「アダルト」となっており、飼育している子の大きさや好きなサイズに合わせて与えるようにしましょう。
・ラット(ドブネズミ)
マウスより大きく食べ応えがあるため、パイソンやモニターに与えられる事が多いです。
・丸ごとニワトリ
滅多にお目にかかれない餌です。取り扱っているお店もあるそうですが、基本的には精肉店などで販売されています。
パプアンパイソンやミズオオトカゲ(サルバトールモニター)などの大型種に与えられる事があり、カルシウムや栄養たっぷりの餌になっています。
・ウサギ
ウサギって聞くと、ペットのイメージが強くてどうしても心が揺らいでしまう方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、ウサギ肉は日本だけでなく世界的に食材として認識されていますし「ラパン」と呼ばれていたりもします。
爬虫類専門店や精肉店で購入できる事もありますが、こちらも基本的には大型爬虫類用となります。
脂肪分が少なく高タンパク低カロリーなので飼育している子のお腹周りがちょっと気になってきたら与えてみても良いと思います。
・子ブタ
こちらも滅多に見られない餌の1つです。精肉店や一部の爬虫類専門店で購入できます。
もはや豚の丸焼きにして食べたいくらいですが、こちらも大型爬虫類にはよい餌となります。
〜番外編!特別なお肉の種類について🍖〜
・ツメガエル、ウシガエルやオタマジャクシなど
こちらはアクアショップでも餌として取り扱われている事があります。
高タンパク低カロリー高カルシウムな餌としてポリプテルスやアロワナの体作りの餌として有名で、魅惑的で理想なマッチョボディーには欠かせないとされているようです。
また、動物系YouTuber様の中には大量発生しているウシガエルをオタマジャクシごと捕獲し、冷凍して寄生虫を殺してから解凍して与えたりしています。
・メダカや金魚などの魚
「もはやアクアじゃないか」と言われそうですが、魚も立派なお肉として爬虫類の餌になります。
・ヘビ
何事かと思われそうですが、ヘビも餌として与えられる事があります。
特に海外では死産や死籠りしてしまった赤ちゃんヤモリやヘビを親個体や専食するタイプの種類に与えるそうです。一種のサークルオブライフです。
日本では爬虫類の餌というより「ハブ酒」や「マムシ酒」のイメージが強いかも知れませんが、餌として与えられる場合は「ムスラーナ」や「インディゴスネーク」などの「ヘビ食いヘビ」の餌として有名です。
また、マウスにも餌付くため忘れられがちですが「キングスネーク」の仲間もヘビが大好物です。
3,お肉を与える時の注意点について
カメレオンは基本的に昆虫を食べており、しっかり紫外線を受けて体も暖められる環境であれば問題なく消化してくれます。
しかし、お肉系の餌は昆虫系とは特徴が違うため与える場合は注意が必要です。
・無理せず食べられるサイズか確認する事
カメレオンは喉が結構広がるので大きな餌でもヘビのように飲み込めると思われがちですが、口の中には長い舌が折り畳まれているので餌が大きすぎると嫌がる子も少なくありません。
・ピンセットから受け取ってくれるか確認する事
お肉系の餌は生きたまま与えるという事が少ないため、カメレオンに与える場合はピンセットで挟んで細かく動かすなどのアクションが必要です。
・お肉系は頻繁に与えない事
お肉は昆虫よりも栄養価が高く、消化吸収に時間がかかる事が多いため頻繁に与えないようにした方が無難です。
・爬虫類用サプリメントもまぶしておく事
丸ごと食べられるピンクマウスやヒナウズラや、鉄分・脂溶性ビタミンなどが含まれている内臓肉であればあまり必要無い気がします。
しかし、ササミなどの肉の部分を与える場合はサプリメントを軽くまぶして栄養バランスに気を遣ってあげましょう。
普段からサプリメントをまぶした餌を与えている場合はカルシウム添加をその時だけお休みし、消化吸収の促進のために爬虫類用の乳酸菌サプリメント「レプラーゼ」をお肉にまぶすのも良いと思います。
⭐レプラーゼに「水溶性バージョン」が出ました!
爬虫類のお腹に優しい乳酸菌サプリ「レプラーゼ」。
筆者も愛用しており、レプラーゼ無しと有りでは便の様子も違って見えます。
個人の感想になってしまいますが、レプラーゼをまぶして与えると消化しにくいコオロギの脚や翅も細かく分解されており、便秘知らずといった感じです。
そんなレプラーゼは餌にまぶして与えるのが主流でしたが、最近飲み水に溶かして与える「水溶性タイプ」が販売されました。
カメレオンはドリップボトルや水入れから水を飲みますが、スポイトからも水を飲んでくれますので飲み水に溶かして飲ませてあげれば腸内環境も良くなると思います。
・必ず紫外線ランプやバスキングスポットを設置する事
カメレオンなどの爬虫類は自然下では太陽の光を浴びて体温や代謝を上げています。
この太陽の代わりを屋内で担うのが紫外線ランプや保温球、バスキングライトです。
・お肉を与えた後の便は匂いが強いので早めに掃除する事
カメレオンの匂い事情については以前ブログでご紹介いたしましたが、お肉を食べた後の便はコオロギなどの昆虫類を食べた時よりも匂いが結構強かったりします。
これはヘビやモニターを飼育している方だと何となく分かるかも知れません。
これは飼育している側にとっても飼育されている側にとっても良い事ではなく、その匂いからカメレオンも「臭いから出して〜」と要請してくる事もあります。
4,かつてのカメレオン飼育と餌について
「爬虫類飼育文化」が日本に入ってまだ間もない頃、カメレオン達は今では考えられないほど輸入状態が悪く飼育も飛び抜けて難しかったそうです。
店頭には「カメレオンMIX」と種類分けされず、死にやすいのでかなり安価な値段で販売されていたと言われています。
そんなカメレオン達の飼育方法を熱意ある愛好家の方々が手探りしながら、時に別れを繰り返しながら現代まで確立、昇華させ、立ち止まる事なくより良い飼育方法を模索しているのです。
そんな「爬虫類飼育文化」もとい「カメレオン飼育」の始まりにはこのような話も伝えられています。
今でも飼育難易度は高いものの寿命が長く長い付き合いができるパーソンカメレオンが輸入されて間もない頃、当時のペットショップではパーソンカメレオンの巨体からか、樹上性の強さからなのか「パーソンカメレオンは鳥を食べる」と解釈していたそうです。
なのでカメレオンが死んでしまう理由を尋ねると「鳥を食べさせないとダメ」と説明される事もある時代でした。
そこで「ベニスズメ」や「十姉妹」などの小鳥を餌としてパーソンカメレオンに与えたそうですが、食べはするものの長くは生きられなかったと語られています。
この話は「爬虫・両生類パーフェクトガイド カメレオン」に記載されており、他にも飼育の苦労話や情熱を感じる事ができますので誇りある愛好家であり先人達の思いを知りたい方は是非購入して読み解いてください。
5,お肉系を与える時のQ&A
与え方は人それぞれで工夫も人それぞれですが、ここでは筆者流、あるいは筆者が知る限りの情報をQ&A方式で答えていきたいと思います。
1Q,小型のカメレオンやレオパードゲッコーなどに与える場合はどうしたら良いの?
A,その子の口の大きさに合わせてカットしたり、ミンチで販売されているタイプを使いましょう。
昆虫や人工飼料で飼育できるのであれば無理せずお肉を与えなくても良いとは思います。
しかし、成長が遅かったり栄養が上手く摂れていないと不安になるのも分かります。
もし小型のカメレオンやレオパードゲッコーなどにお肉を食べさせてあげたい場合はピンクマウスなどをその子の口のサイズに合わせてカットしてから与えましょう。
また、カメレオンには不向きですが、最近ではミンチ加工したウズラ肉も販売されているようなのでそちらを解凍して与えるのも良いと思います。
あとはピンクマウスが飲めないほどの子ヘビの場合はピンクマウスを半分にカットする、マウスの尻尾だけカットして与えるという方法もあります。
2Q,冷凍飼料の解凍方法は?
A,解凍方法は色々あります。やりやすい方法で解凍しましょう。
これも人によって様々で「やり方は、できている!」という方もけっこういます。
1つめは使う分だけを小分けにパックして湯煎する方法です。
ピンクマウスや雛ウズラなどはまとまった数で販売されている事も多いので、パックから使う分だけ取り出してジップロックなどに入れ、熱めのお湯に浮かべて温めます。
2つめはそのまま熱めのお湯に使う分だけ入れて解凍する方法です。
量や時間によっては水を変える必要がありますが、前述の方法より若干早く解凍できます。また、水道からお湯を出し続けて「流水解凍」にする事もあります。
この方法はよく「匂いが取れてしまう」と言わてしまいますが、気にせず食べる子もいますのでそこは臨機応変に対処しましょう。
3つめはフィルムヒーターに乗せたり電子レンジを使う方法です。
フィルムヒーターに関しては大丈夫だと思いますが、電子レンジに関しては家族と暮らしている場合は必ず許可をもらってから使いましょう。場合によってはケンカの原因になります。
フィルムヒーターに置く場合はパックにしても丸のまま置いても良いですが、筆者の場合はある程度のところでひっくり返して全体を温めるようにします。
電子レンジの場合は解凍モードで温めますが、やり過ぎると悲惨な事になりますし、家族間であれば阿鼻叫喚な状況になるためちょっとずつ温めてベストな時間を割り出すのが良いと思います。
3Q,解凍の目安は?
A,お肉に指を押し当てて中も人肌程度に温まっていればOKです。
冷凍のお肉を与えるにあたってお肉の温度はとても大切です。
特に表面だけ解凍済みで内部の解凍が不十分な状態でカメレオンや爬虫類達に与えるとお腹が内側から冷やされてしまい、体調不良や消化不全の原因になってしまいます。
カメレオンであれば噛んだ時に「うわ、冷た!」と吐き出してくれたりもしますが、ヘビやモニター、ヤモリだと一度咥えたらそのまま飲み込んでしまう事もあるので非常に危険です。
そんなこんなで解凍の目安ですが、解凍したお肉に指を押し当て、内部も人肌くらいに温かくなっていて冷たい部分がなければ与える事ができます。
解凍が不十分だと指を押し当てた時に冷たい部分があったり固くなって解凍しきれていない事が分かるので、解凍してから与える前は必ずチェックするようにしましょう。
⭐大きいお肉には温度計も有効!
カメレオンに与えるという事はほぼほぼ無いタイプのお肉ですが、子ブタやウサギは大型のパイソンやモニターにとってご馳走です。
しかし、あまりにも大きいので解凍にかなり時間がかかってしまいますし、大きいが故に内部までちゃんと温まっているか分かりにくいという面もあります。
これを解決するアイテムとして、料理に使われるタイプの温度計がかなり役に立ちます。
お肉の一部に切れ込みを入れ、温度計を差し込むと内部の温度が分かります。
4Q,お肉を与える前には手を洗った方が良い?
A,洗った方が清潔ですし、彼らの「ある行動」対策にはなると思います。
カメレオンのように視力に頼った狩りをするタイプであれば手を洗わなくても良さそうな気がしますが、筆者は一応手を洗ってから与えます。
ただし、ヘビやモニターなどの「匂い」も狩りのエッセンスにしている種類に関しては絶対に手を洗ってから与えた方が無難だと思います。
■何故こんな事に…!?
日本では数年前にとある事件が起きています。その事件というのが飼育していた大型のニシキヘビに飼い主が絞め殺されてしまったという事件です。
飼育していた方は大蛇飼育のベテランだったそうで、このヘビも長い間飼育されていたとされています。
何故こんな悲惨な事件が起きてしまったのかというと、餌を与える時にヘビが餌の匂いに反応して飼い主を襲ってしまったと考えられています。
つまり「食べ慣れている餌の匂い」がついた飼い主を「勢い余って襲ってしまった」のかも知れないのです。
ちなみに大型爬虫類を飼育している方の中には餌の匂いがつかないように着替える方もいます。
他にも飼育あるあるとして、餌に興奮した子が勢い余って飼い主の手や指に噛みついてしまうというケースもあります。
5Q,冷凍飼料はどこに保管すれば良いの?
A,冷凍庫や個人の冷凍庫があれば保管できますが、ご家族とお住まいの場合は必ず許可を取ってください。
お肉も冷凍飼料の一種なので保管できる冷凍庫や冷蔵庫は不可欠です。
個人の物があれば自由に使えるのですが、ご家族と暮らしている場合は必ず許可をもらってから保管するようにしましょう。
いくら家族でも受け入れがたいものがあるはずです。
⭐兄友「まさか…、このかき揚げは!」
家族に餌の保管として冷凍庫を使わせてもらえても、稀に事故というか奇跡は起きるものです。
筆者には兄がいるのですが、その兄の友人は魚釣りが好きで冷凍室にオキアミのブロックを保管していたそうです。
そんなある日。夜釣りに行こうと冷凍室を見ると、買ったばかりのオキアミブロックがなくなっているではありませんか!
しかもその日の晩御飯のメニューには大きめの小エビがたくさん入ったかき揚げ。ええ、たくさん「小エビが入った」かき揚げです。
真実に辿り着いてしまった友人は2度と家族共用の冷蔵庫は保管に使わなくなったそうです。
まとめ
今回は数多くある餌の中でもカメレオンや爬虫類に与えられるお肉について皆様にご紹介させていただきました。
他にもきっと飼育者様の中にはご紹介した以外のお肉を与えている方もいらっしゃると思いますので参考程度にしていただければ幸いです。
また、お肉は昆虫系より一部を除いて脂肪が少なく栄養も豊富なので、大きく育てたい方や栄養をつけてあげたい場合は頼りになる餌だと思います。