お子さんのカメレオンとの触れ合い方について!
「カメレオンと暮らしたい」という方の中には1人暮らしではなく、家族と暮らしている方もいらっしゃると思います。
その中でも、小さなお子様はオモチャでも動物でも色んな存在に興味を持ち、何でも触れ、見つめて学んでいきます。
カメレオンも嫌な思い出が無い限りはお子様の興味の対象ですし、カメレオンにとっても「子どもは無害」という認識になっていれば特に問題なく家族関係も良好なものとなるでしょう。
しかし、お子様のカメレオンに対する触れ合い方や関わり方がマズイと信頼関係が崩れるどころかお互いに気まずい空気が流れてしまいます。
1,小さなお子様とカメレオンの間で起こる事故のパターンについて
お子様もカメレオンも予測不能な事をするのは変わりませんが、だからといって関係があまりにも悪かったり触れ合い方が悪いとお互いに嫌な思いをする事になってしまいます。
①カメレオンの握力でお子様が泣いてしまう
カメレオンはほとんどの種類が樹上生活者ですので、手足には鋭い爪と強い握力を備えています。
地上生活者であるヒメカメレオンやコノハカメレオンは樹上種ほどではありませんが、それでもなかなかの握力を誇ります。
このパターンはお子様にハンドリングをさせる時やカメレオンを鳥かご飼育をしている時に起こりやすいです。
鳥かご飼育の場合は鳥かごの隙間から手を「ヒョイヒョイ」出している時、ハンドリングの場合はそのままカメレオンをお子様の手や腕に乗せた時に、カメレオンの爪と握力がお子様の柔らかい皮膚や指を傷付けてしまう事があります。
◆カメレオンの握力は生物界でもかなり強い!
飼育ケージの中のレイアウトをゆっくりと縦横無尽に動き回るカメレオンですが、その握力は生物界の中でも非常に強く、小型種であっても枝から離すのはかなり大変です。
そんな彼らの握力は自然下ではさらに強靭さを見せつけてくれます。
カメレオンは眠る時に外敵や天敵から逃げやすいようにするため、細い枝の上や葉っぱの先で寝る事があります。
しかし、そこに強力な台風が来たとしても、飛ばされる事なく握力と爪でしがみつき、安全な太い枝のところまで難なく移動してしまうのです。
◆筆者の体験談!「その勇気に敬意を表します。」
それはとあるペットショップでの事。そのお店ではご飯直後でなければ動物のハンドリングもさせてくれるのですが、そこに小学生くらいの男の子が家族と一緒に来店していました。
どうやら新しい家族を探しに来たようでしたが、その少年の目に留まったのはヤングサイズのエボシカメレオンでした。
私もハンドリングさせてもらった事がありますが、元気いっぱいで握力も強く、大人の手に爪跡をしっかり残せる優良な個体で私が見ても「ディ・モールト(非常に)!良い!」エボシちゃん。
そんなエボシカメレオンのハンドリングを少年は願い出たのです。
しかし、子どもの柔肌にカメレオンの爪と強力な握力。あっという間に手は傷だらけになり、心配する店員さんには「大丈夫です。」と言っていましたが、店員さんがカメレオンをケージに戻している間「痛い、けっこう痛い…。」と痛みを堪えていました。
ところが驚いた事に、この少年は家族に「この子が良い!」とお迎え宣言!飼育器具一式購入だけでなく店員さんに飼育方法を事細かに聞いていました。
②カメレオンに噛まれてしまう
これは最悪なケースの1つです。飼育しているカメレオンが気が強いか、虫の居所が悪い、あるいは子どもやアクシデントで警戒している時にお子様が手を出して噛まれてしまう事があります。
カメレオンの噛む力は強く、牙は薄くて鋭い切断力を高めた形状をしています。これに本気で噛まれた日には最悪病院に駆け込まなければなりません。
◆カメレオンの噛む力は洒落にならない!
特に問題なく飼育していると、カメレオンが口を開ける瞬間というのは餌を食べる時か水を飲む時くらいです。
なので、あまりカメレオンの噛む力というのは分かりづらい面があります。
しかし、自然下のカメレオンは捕食される側から見たら恐るべきハンターであり、アサシンです。
特にパーソンカメレオンやウスタレカメレオン、パンサーカメレオン等の大型種は小鳥やネズミなどの小動物も捕食しますし、以前ご紹介した「ナマクアカメレオン」は毒蛇やサソリすら捕食します。
長い舌で捕らえられた獲物が辿り着く先は、一撃で獲物の命を断つ「ギロチン」なのです。
大型種となると、硬い外殻を持つ甲虫すらも易々と噛み砕いたり、「パキッ」と切断してしまうほどの力になります。
また、小型種であるぺぺ君でも、ミルワームやコオロギを食べる時に勢い余って切断する事もありました。
③お子様がカメレオンを叩いたり握ってしまう
これも最悪なケースの1つです。
ヒメカメレオンやコノハカメレオンのような小型種であれば、握られたり叩かれたりしたら死んでしまう可能性もあります。
◆カメレオンがケガをすると本当に大変!
以前、カメレオンを飼育する時は爬虫類も診てもらえる動物病院も把握するようにした方が良いとお伝えしましたが、爬虫類の中でも謎が多く、繊細なカメレオンを診てくれる動物病院はまだ少ないです。
そんな中でこのような事故が起きてしまうと、場合によっては隣の市や遠い県まで移動しなければいけません。
2,ハンドリング事故の予防策〜お子様編〜
先ほど挙げたような事故を防ぐには、カメレオンもお子様も互いに歩みよりながら気を付けなければなりません。
しかし、カメレオンは体色を変えて気分をアピールする事はできても言葉を発する事はできません。人間ではないので考えている事の予測は難しいのです。
①必ず大人が見張る事
これは確定事項です。
ハンドリング中もそうですが、小さいお子様もカメレオンも何をするか分かりません。
②ケージをあまり触らせない事
飼育ケージには様々な種類がありますが、鳥かごのように隙間が無く、鍵で閉じるタイプであってもあまり触らせないようにしましょう。
というのも、何かの拍子で鍵が外れてしまったり、うっかり無施錠の場合もあります。
③赤ちゃんの時は見せるくらいに留める
たまに教育としてペットに赤ちゃんを預けたり触らせる方がいらっしゃるようですが、お子様が赤ちゃんの内はそこまで積極的に関わらせなくても良いと筆者は考えています。
というのも、赤ちゃんの内は免疫力も低いですし、肌も柔らかくてとても弱い存在だからです。
カメレオンは動物なので何を考えているか分かりませんし、力の加減は基本的にできません。
④力の加減を教え、暴力は奮わせない事
「子どもは無邪気ゆえに残虐」という言葉がありますが、実際その通りだと筆者は思っています。
力の加減、扱い方、感情の制御が難しかったり分からなかったりするため、どうしても扱い方が雑になったり壊してしまう事もあります。
お子様が投げたり叩きつけている物がお皿やぬいぐるみなどではなく、家族の一員であるカメレオンやハムスターなどの「命」だったとしたら?絶対に阻止するべき行為なはずです。
⑤ハンドリングする時は必ず「革手袋」!
お子様がハンドリングできるくらいの年齢であり、カメレオンに対する理解も出てきたら革手袋を着けた状態でハンドリングをさせましょう。
痛みに慣れていないお子様だとカメレオンの爪と握力はかなり痛いですし、腕や手に傷がついてしまう事もあります。
⑥カメレオンの事を教えてあげよう
お子様がカメレオンに興味を抱き、「触りたい」「お世話したい」と言い出したらすぐにカメレオンに触れさせるのではなく、まずは自らお手本を見せ、カメレオンについて少しずつ教えてあげましょう。
その時触らせる場合もいきなりハンドリングさせるのではなく、尻尾や背中などの比較的安全な部位に優しく触らせます。
3,ハンドリング事故の予防策〜カメレオン編〜
カメレオンが何を考えているか分からないとはいえ、飼い主は一番カメレオンとの絆があり理解できていると思います。
この子は何が嫌いで何が好きなのか、カメレオン自体の特徴。様々なところに理解があるので、カメレオンをお子様に少しずつ慣れさせていく事で事故を予防する事ができます。
①飼っているカメレオンの性格を理解し、無理強いさせない事
これはとても大切な事です。カメレオンにも個体差や性格の違いがあるため、それを理解していないと事故に繋がってしまいます。
特にカメレオンは本来見られたり触られたりするのは苦手で、飼い主だからこそ心を許しているだけの場合がほとんどですので無理強いさせてはいけません。
②お子様の存在を認知してもらおう
基本的に無理にお子様と関わらせなくても良いですが、カメレオンがお子様にも心を開いてくれたら、さぞ嬉しい事でしょう。
そのためには、まずカメレオンにお子様を認知してもらわなければなりません。もちろん「無害」「敵じゃない」という認知です。
カメレオンにとって飼い主以外の人間は基本的に「ヤバい存在」ですので、まずはお子様の姿をカメレオンが観察するという状態を作りましょう。
お子様の背丈や手が届かない高さにケージを設置したり、カメレオンのケージの回りをバリケードで囲うのも効果的です。
③隠れ家を増やしておく
カメレオンがお子様との関わりをあまり嫌がらないようであれば②を継続しますが、ストレスの緩和のために隠れ家を増やしておきます。
④ハンドリングさせる時は必ず大人が一緒&目を離さないで!
カメレオンがお子様に慣れ、姿を見たら上機嫌で様子を見に近付くようになったらちょっと関わりを持たせてみます。
飼い主がカメレオンを出してお子様に少し触らせてみたり、餌を与えさせてみましょう。
この時必ず目を離さないようにし、カメレオンとお子様の動静に気を付けなければなりません。
⑤触られるのに慣れたら乗せてみる
触られるのにも慣れ、お子様に対しての警戒心が薄くなったらお子様に革手袋を装着させて実際に乗せてみます。
お子様やカメレオンが嫌がっている場合は無理強いさせてはいけません。
4,カメレオンがやってしまう珍行動について
焦らずゆっくりお互いに慣れていく事でカメレオンとお子様の間にも確かな「絆」が生まれます。
・「何それ?気になるんだよ〜!」
これはお子様が乳歯が生えたてだったり、何かをモグモグしている時にカメレオンがついやってしまいがちな珍行動です。
動く物がとにかく気になってしまうのはカメレオンの性、一瞬見える物が気になるのもカメレオンあるある。
そんな彼らが生え初めのチラ見え乳歯やモグモグと動く口を見たらテンションが上がるのは最早必然です。
口元に狙いを定め、舌を発射してお子様を驚かしてしまう珍行動が起きる事があります。
この珍行動を防ぐためには、カメレオンをケージから出さない事や、カメレオンが舌を発射する準備に入ったら飼い主がお子様との間に割って入って舌を受けたり、手に移動させて発射を阻止しましょう。
・「掴みたいのに掴めな〜い!」
カメレオンは自分がいる位置より高い場所に行きたがるという習性があり、実際にカメレオンの目線より高い位置に指や枝を差し出すとそちらへ行く事が多いです。
カメレオンは高い位置が好きなので、蛇口から出た水やお子様がシャボン玉で遊んでいると掴みたがって手をヒョイヒョイ、ニギニギしたりします。
また、中には尻尾を指や止まり木にしっかり絡ませてバランスを取り、二足歩行でシャボン玉や水に挑む事もあります。
その様子は大変可愛らしく、動画や写真に納められている事もありますが、シャボン玉の場合はペットに無害なタイプか、食べられるシャボン玉などの無害を極めたタイプを使ってカメレオンにダメージが無いようにしましょう。
まとめ
今回はお子様のカメレオンとの触れ合い方や対策方法などについてご紹介させていただきました。
カメレオンも人に慣れている個体で、少しずつ慣れさせていけばお子様にも心を開いてくれます。お子様にはカメレオンとの付き合い方をゆっくり教えていけば、大きな事故は起きにくいと思います。
最近ではカメレオンも含め、爬虫類もペットとして浸透しつつあります。その一方で、ペットが家族に危害を加えてしまったり、飼い主側がペットを手放してしまうパターンも顕著になってきました。
これは本当の意味で最悪のパターンですが、そうならないためにも少しずつ慣れる、慣れさせる。