皆様おはこんばんにちは🦎 カメレオン暮らしのあおいです!今回ご紹介するのは、リクガメ愛好家のあいだで「世界で最も入手困難な小型リクガメのひとつ」と語り継がれている、クモノスガメ(Pyxis arachnoides)です。
マダガスカル南西部の乾燥した茂みの中だけにひっそりと暮らしていて、甲羅に走る黒い線がまるでクモの巣のように見えることからこの名前がつきました🕸️ 甲長わずか12〜15cmという、リクガメとしては掌に乗るほどの小ささも大きな魅力なのですが、その実態はCITES(ワシントン条約)付属書Iに掲載された絶滅危惧種。流通自体が極めて稀で、国際取引はほぼ全面的に禁止されています。
そのため本記事は「これからクモノスガメを買って飼ってみよう」という入門記事ではありません。あくまで、既に合法的に飼育している方/生体保全や種の理解を深めたい方/同種の研究者・ブリーダーの方に向けた、生態と飼育環境の総合ガイドとしてまとめています。法的な背景、乾燥地帯の再現方法、餌の組み立て方、そしてカメレオン飼育者の視点から見たクモノスガメの面白さまで、じっくり掘り下げていきますね。
📝 この記事でわかること
- クモノスガメ(Pyxis arachnoides)の生態・分布・形態的特徴
- CITES付属書Iという最厳格レベルの保護指定と日本の法的な扱い
- マダガスカル南西部の乾燥棘地帯を室内で再現するためのケージ・温湿度設定
- 葉物野菜中心の餌の組み立て方とサプリメントの使い方
- 夏眠(エスティベーション)など独特の生理現象への向き合い方
- カメレオンとの飼育環境の違い(湿度・餌・空間設計)
- よくあるトラブルとその対処、そして種の保全への向き合い方
クモノスガメとはどんな生き物?基本情報と魅力
まずはクモノスガメの「素顔」を紹介していきます。学名や分布、寿命、保護状況など、飼育の前提となる基本情報をきちんと押さえておきましょう。基本情報を知っているかどうかで、ケージ作りの解像度がまったく変わってきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | クモノスガメ |
| 学名 | Pyxis arachnoides |
| 英名 | Madagascar Spider Tortoise / Common Spider Tortoise |
| 分布 | マダガスカル南西部の沿岸乾燥棘地帯(ディドリエレア林ほか) |
| 甲長 | 約12〜15cm(成体)※リクガメ全体でも最小クラス |
| 体重 | およそ300〜500g |
| 寿命 | 推定40〜70年(飼育下のデータは限定的) |
| 保護状況 | CITES付属書I/IUCNレッドリスト「絶滅危惧IA類(CR)」 |
| 生息環境 | 年間降雨量が少ない半乾燥地、棘の多いマダガスカル固有植物群落 |
| 活動性 | 朝夕の薄明時に活発、日中は植物の根元や落ち葉の下で休む |
| 飼育難易度 | ★★★★★(超上級・そもそも合法個体の入手自体が困難) |
「クモの巣模様」と呼ばれる独特な甲羅
クモノスガメ最大の魅力は、なんといっても放射状に走る黒い線が、まるで張りつめたクモの巣のように見える美しい甲羅です。地色は淡い黄褐色〜オフホワイトで、そこへ黒い細い線が中央から外側へ向かって伸び、各甲板に独自のパターンを描きます。同じ模様の個体は一頭としていない、と言われるほど、個体ごとの差が際立つ種です。
頭部や四肢は控えめな茶〜灰色で、甲羅の派手さに比べるとちょっと地味めなのが愛らしいところ。手のひらサイズの体躯にこの精緻な模様が乗っているので、所有者の方は皆「ジュエリーのよう」と表現するそうです。
3亜種に分けられる「クモノスガメ属」
クモノスガメ(Pyxis arachnoides)は、現在のところ以下の3つの亜種に分けられているそうです。分布域や腹甲のヒンジ(蝶番)の発達具合が異なります。
| 亜種 | 学名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 基亜種クモノスガメ | P. a. arachnoides | マダガスカル南西部中央域。腹甲ヒンジが発達。 |
| キタクモノスガメ | P. a. brygooi | 分布の最北。腹甲ヒンジがほとんど発達しない傾向。 |
| ミナミクモノスガメ | P. a. oblonga | 分布の最南。甲色がやや暗色寄り、模様が密になる個体が多い。 |
同属にはヒラオリクガメ(Pyxis planicauda)もいて、こちらもマダガスカル固有・絶滅危惧種です。クモノスガメ属はマダガスカルだけに残された、極めて貴重な進化の枝といえそうですね。
【最重要】CITES付属書Iと国内法──飼育の前に必ず知っておくべき法的な話
クモノスガメを語るうえで、絶対に省略できないのが法律のお話です。ここを飛ばしてしまうと、知らぬ間に違法行為に加担してしまうリスクもあるため、記事中で最もしっかりお伝えしたい章として位置付けました。
📌 法規制について
本記事の内容は2026年5月時点の情報に基づいています。輸入・販売・登録の規制は変更される可能性が高いため、最新情報は環境省、経済産業省、CITES事務局、各都道府県の動物愛護担当などの公式情報を必ず確認してください。
CITES付属書Iとは「商業目的の国際取引が原則禁止」のクラス
CITES(通称ワシントン条約)は、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を制限する条約です。掲載される付属書は危険度に応じてI〜IIIまであり、付属書Iはそのなかでも最も保護レベルが高い区分にあたります。
クモノスガメは、もともと付属書IIに登録されていたものの、急激な野生個体数の減少と密猟の深刻化を受けて、近年では付属書Iへランクアップし、商業目的での国際取引は原則禁止という扱いになっています。学術・繁殖目的での移動はCITES許可書を介してのみ可能で、輸入元・輸出元両国の政府機関の承認が必要です。
日本国内で飼育する場合の手続き
日本でCITES付属書I種を飼育する場合、「種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)」に基づく登録が必要となるケースがほとんどです。登録手続きの概要は以下のとおりとされています。
- 譲渡・販売・展示する場合は、原則として個体ごとに環境省の登録票(登録票番号付き)が必要
- 登録票は合法な入手経路(CITES許可書つき輸入、登録個体間の繁殖個体など)が証明できる場合にのみ発行される
- マイクロチップなどによる個体識別が求められることが多い
- 登録票なしで広告掲載や販売を行うと、種の保存法違反として罰則対象になる
「ペットショップで普通に売っていたから合法でしょ?」では通用しません。登録票の有無、発行年月日、譲渡履歴の整合性を、購入前にしっかり確認することがとても大切です。少しでも怪しい流通経路だと感じたら、購入そのものを見送る勇気を持ちましょう。
輸入個体(WC)と繁殖個体(CB)の見分け方
クモノスガメの場合、現状で合法的に流通する個体のほとんどは、過去にCITES許可を経て持ち込まれた登録個体のCB(Captive Bred=繁殖個体)です。WC(Wild Caught=野生捕獲個体)は、現行のCITES Iの規制下では原則として商業流通しません。もし「最近輸入したばかりのWC個体」を勧められたら、その時点で大きな赤信号です。
合言葉:「登録票なしのクモノスガメは、たとえどんなに安く案内されても買わない」
飼育環境の作り方──乾燥棘地帯を再現するケージ設計
クモノスガメは、年間を通して降水量が極端に少ないマダガスカル南西部に分布しています。日本の梅雨や夏のジメジメは、彼らにとってまさに苦行。「乾燥」をしっかり再現できるかどうかが、長期飼育の成否を分けるカギになります。
ケージのサイズと素材
成体でも甲長12〜15cmと小さい種ですが、活動性は意外と高めで、地表をテクテク歩き回るのが大好きです。最低でも甲長の8〜10倍程度の床面積を確保し、横長で動線を取りやすいレイアウトが理想とされています。
- 1〜2頭飼育:幅90×奥行45×高さ40cm程度を目安に
- ペア・小グループ:幅120cm以上の屋内エンクロージャー、または屋内サークル状ペン
- 素材:通気性を保ちながら湿度上昇を防げる、木枠+ガラス前面のリクガメ専用ケージや、屋内サークルがおすすめ
ガラス水槽の使い回しでも飼育自体は可能ですが、結露が起きやすく湿度が上がりやすいので、フタを全面メッシュにする・ライト直下に通気を切らないなどの工夫が必須です。
温度勾配:バスキング30〜32℃/アンビエント24〜28℃
クモノスガメは、朝晩は涼しく日中は強い日射が当たる、典型的な乾燥地帯のリズムで生きています。ケージ内には「日光浴のための熱い場所」と「クールダウンできる涼しい場所」の温度勾配を作ってあげます。
| エリア | 温度目安 | 機材例 |
|---|---|---|
| バスキングスポット | 30〜32℃(甲羅表面) | バスキングランプ、レフ球(50〜100W程度) |
| アンビエント(昼) | 24〜28℃ | エアコン管理+必要に応じてパネルヒーター |
| 夜間最低温度 | 18〜22℃ | 夜間用セラミックヒーター、暖突など |
| 湿度 | 40〜60%(やや低め推奨) | 湿度計、必要時のみ霧吹き |
注意したいのが、「乾燥系=湿度0でいい」ではないということ。マダガスカルの棘地帯にも雨季が短く存在し、その時期に交尾や産卵が集中します。慢性的な脱水を避けるためにも、湿度40〜60%帯をキープしてください。湿度が80%を超える状態が続くと、呼吸器感染症や皮膚の真菌症のリスクが急上昇します。
UVB照射と紫外線管理
リクガメ全般に共通する話ですが、クモノスガメもUVB(紫外線B波)がカルシウム代謝(ビタミンD3合成)に必須です。乾燥地帯の強い日差しの下で進化してきた種ですから、UVB量はやや強めに想定するのが安全とされています。
- UVB蛍光管:UVB10.0または砂漠用と表示された製品
- 水銀灯/メタルハライド:高出力でバスキングとUV供給を兼ねられるタイプも有効
- 距離:個体までの直線距離が30cm程度になるよう設置
- 交換周期:蛍光管は6〜12か月で出力低下、忘れずに交換
床材は「乾いた砂質土」と「乾燥した葉」のミックスがおすすめ
マダガスカル南西部の地面は、ザラっとした砂質土に枯葉や小枝が散らばっているような乾いた質感です。これを再現するには、以下のような床材ミックスを使うと良さそうです。
- 細目の赤玉土または砂質培養土
- クヌギなどの落ち葉(無農薬の自家収集が安心)
- 表層に薄くココハスクやヤシガラ繊維をブレンドし、潜り込み場所を作る
湿らせすぎないことが大事で、表面はサラサラ、深部にほんのり水分が残る程度が良い目安と言われています。糞や尿酸はこまめに取り除き、月1回程度は床材を一部入れ替えるとカビ予防にもなります。
餌と栄養管理──葉物野菜中心の「ベジタリアン食卓」
クモノスガメは、野生では低草本やマメ科植物の葉、サボテンの花や果実、地表に落ちた果実、稀に小さな昆虫を食べることが報告されているそうです。飼育下では、葉物野菜と野草を主軸に組み立てるのが基本となります。高タンパク・高脂質な動物質を多くしすぎないことが、甲羅変形や腎機能トラブルを防ぐコツです。
主食としておすすめの葉物・野草
| カテゴリ | 具体例 | 給餌のコツ |
|---|---|---|
| 主役の葉物野菜 | 小松菜、チンゲン菜、サラダ菜、青梗菜 | 毎食の中心。複数種類をローテーション |
| 野草(無農薬) | タンポポ、オオバコ、クローバー、ハコベ | 採集場所に注意(除草剤・排ガス汚染を避ける) |
| 高繊維食材 | 桑の葉、ヤブガラシ、クズの葉 | 繊維補給と腸内環境の安定に |
| トッピング | サボテン(オプンチア)、ニンジン葉 | 水分補給と嗜好性UP |
頻度を控えるべき食材・与えてはいけない食材
- 果物全般:糖度が高いため、与えるならごく少量・週1回未満
- キャベツ・ブロッコリーなどアブラナ科を大量に:甲状腺機能に影響する可能性
- ホウレンソウ:シュウ酸が多くカルシウム吸収を阻害
- 動物性タンパク質:原則不要。タンパク過多は腎臓と甲羅に悪影響
- ドッグフード・キャットフード:絶対NG
サプリメント運用
UVBを十分に当てていても、屋内飼育では天然光より弱いと言われています。カルシウム+ビタミンD3のサプリは、リクガメ飼育における基本中の基本です。
- カルシウムパウダー(D3配合)を週2〜3回、餌に薄くまぶす
- マルチビタミンは週1回程度を目安にダスティング
- 給水容器とは別に、コトル骨(イカの甲)をケージ内に置いておくと自分でかじる個体もいる
水分補給
「乾燥系=水いらず」ではなく、むしろ少量でも安定して水分を取れる環境がとても重要です。浅い陶器の水入れを設置し、週1〜2回程度はぬるま湯での温浴を行うと、脱水予防と排泄促進の両方に役立ちます。温度は30℃前後、深さは甲羅の半分以下に。
季節サイクルと夏眠(エスティベーション)
マダガスカル南西部は雨季と乾季の差がはっきりしており、クモノスガメは乾季の最も厳しい時期に「夏眠」と呼ばれる活動低下状態に入ることが知られています。地中や落ち葉の下に潜り込み、代謝を落として乾燥と高温をやり過ごすという、なかなかロマンのある生態です。
夏眠と冬眠の違い
多くの方になじみがあるのは「冬眠」だと思いますが、クモノスガメが行うのはむしろ「夏眠(エスティベーション)」です。気温が高すぎる・湿度が極端に低すぎる時期に、代謝を落として動かなくなる現象です。冬眠は寒さから、夏眠は乾燥や高温から身を守る適応戦略と言えそうですね。
飼育下で夏眠させるべきか?
飼育下では、必ずしも夏眠を再現する必要はないとされています。むしろ、健康状態の管理が難しい個体(幼体・痩せた個体・既往疾患あり)に夏眠を強いると、目覚めずに死亡してしまうリスクがあります。健康診断を受けたうえで、十分に育った成体だけが対象と考えるのが安全です。
- 夏眠導入前:体重・甲長を測定し、CTスキャンや血液検査で内蔵チェックが理想
- 導入期:餌量を段階的に減らし、湿度を意図的に下げていく
- 夏眠中:温度18〜22℃、湿度30〜40%程度の暗所で静置(数週間〜2か月)
- 覚醒期:徐々に湿度・温度を上げ、温浴を行いながら少量の給餌から再開
ベテランのブリーダーさんの中には、繁殖周期を整える目的で意図的に夏眠を組み込む方もいるようですが、初心者がいきなり真似するのは推奨されません。普通に通年活動させ、季節に応じて温度・湿度・日長を少しずつ揺らすぐらいで十分良好に維持できる、というレポートも多いです。
カメレオンとクモノスガメ、飼育環境はどう違う?
当ブログをご覧くださる方の多くはカメレオン飼育者なので、両者の違いを比較しながら理解できると面白いと思います。「同じ爬虫類」「同じマダガスカル」でも、求められる飼育環境はびっくりするほど違うんですよ。
| 項目 | クモノスガメ | カメレオン(ベーメ・パンサーなど) |
|---|---|---|
| 生活様式 | 地上棲(テクテク歩く) | 樹上棲(枝の上でじっと) |
| 湿度 | 40〜60%(やや低め) | 60〜80%(高湿度+霧吹き) |
| 主食 | 葉物野菜・野草(草食寄り) | コオロギ・デュビアなど昆虫(肉食) |
| 給水 | 浅い水入れ+温浴 | ミスティング、ドリップ式 |
| ケージ形状 | 横長・床面積重視 | 縦長・高さ重視 |
| 活動温度 | バスキング30〜32℃/アンビ24〜28℃ | バスキング28〜32℃/アンビ22〜26℃ |
| 寿命 | 40〜70年 | 5〜10年程度 |
| 入手難易度 | 極めて困難(CITES I) | CB流通あり(種により異なる) |
湿度の感覚が真逆になりがち
ぺぺ君のようなカメレオンを長年飼っている方は、つい「霧吹きしっかり、湿度高めキープ」というクセが体に染み込んでいることが多いです。でもクモノスガメに同じ感覚で接すると、慢性的に湿度が高すぎてカビ・呼吸器疾患を招くことになります。「乾燥系のカメ」を意識して、湿度コントロールの引き出しを増やしてあげてくださいね。
「縦」のカメレオン、「横」のクモノスガメ
カメレオンは枝を伝って上下に動く生活、クモノスガメは地面の上をのっそり横移動する生活。空間の使い方そのものが90度違うのが面白いポイントですね。ケージレイアウトも、カメレオン用の縦長ケージをそのまま流用するのは難しく、専用の横長エンクロージャーを用意する必要があります。
よくあるトラブルとケア
クモノスガメに限らずリクガメ全般で起きやすいトラブルを、原因と対処法とともにまとめておきます。早期発見・早期対応が長寿命のカギです。
食欲不振・拒食
ストレス、温度低下、寄生虫感染、季節性の生理現象(プチ夏眠的状態)など、原因はさまざまです。まずは以下を順番にチェックしてみてください。
- ケージ温度(バスキング・アンビエント)が下がっていないか
- UVBランプの交換時期を過ぎていないか
- 新しい個体・新規環境に慣れる過程ではないか
- 糞便検査で寄生虫がいないか(病院で検査可能)
2週間以上続くようなら、CITES I種の診療経験がある爬虫類専門病院で相談を。一般的な犬猫病院では対応が難しい場合もあります。
甲羅変形・ピラミッディング
幼体期のタンパク質過多、湿度不足、UVB不足、運動不足などが複合的に絡む現象です。一度盛り上がってしまった甲板は完全には元に戻らないと言われており、予防が何より大切です。給餌内容の見直しと、適度な湿度・運動量の確保を意識してくださいね。
呼吸器感染症(RI)
鼻水、口を開けての呼吸、シューシューという雑音はSOSサインです。低温・高湿度・換気不足が引き金になりやすく、乾燥系のクモノスガメでは特に高湿度ストレスに注意。温度を一段上げ、湿度を下げ、それでも改善しなければ専門病院で抗生物質投与を検討します。
結石・脱水
水分摂取量が不足すると、尿酸が結晶化して膀胱結石を作ってしまうことがあります。普段から温浴の機会を作り、新鮮な野草で水分量を補うのが理想です。尿酸が白くチョーキーな状態が続いたら脱水気味のサインかもしれません。
クモノスガメと「種の保全」──飼育者にできること
クモノスガメは、ただ「珍しい・かわいい」と愛でるだけでは語れない、種そのものの未来がかかった存在です。飼育者の選択ひとつが、密猟需要を増やすか減らすかを左右します。
合法繁殖個体だけを支持する
正規の登録ルートで繁殖された個体だけを購入・譲渡する、というシンプルな行動が、長期的には密輸需要を抑える最大の力になります。「現地から最近来ました」「特別ルートで安く」というような誘い文句には絶対に乗らないでください。
記録を残し、共有する
飼育下繁殖(CB)のデータは、まだまだ限られています。給餌記録、温度湿度ログ、繁殖行動の観察日記などをコツコツ残し、爬虫類関連の学会・カンファレンス・SNSなどで共有することで、ほかの飼育者の知見の底上げにもつながります。
マダガスカルの保全団体への寄付・支援
クモノスガメの保全活動は、TSA(Turtle Survival Alliance)や、Durrell Wildlife Conservation Trust、Madagasikara Voakajy などの団体が現地で展開しています。直接の購入ができなくても、寄付や情報拡散という形で支援に参加することは可能です。
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よくある質問(FAQ)
Q1. クモノスガメは日本のペットショップで普通に買えますか?
原則として、一般の店頭で常時販売されていることは極めて稀です。CITES付属書Iに掲載された後は、合法に流通する個体数自体が非常に限られています。仮に販売されていても、必ず種の保存法に基づく登録票の有無、譲渡の履歴、繁殖個体(CB)であることの証明を確認してください。少しでも怪しいと感じたら購入を見送るのが安全です。
Q2. クモノスガメは初心者にも飼えますか?
正直なところ、リクガメ飼育の入門種としては全くおすすめできません。乾燥地帯特有の温湿度管理、CITES I種としての法的責任、専門病院へのアクセスなど、ハードルが非常に高い種です。リクガメに入門したい方には、まずヘルマンリクガメやロシアリクガメ(ホルスフィールド)など、流通量・飼育情報が豊富な種から始めることをおすすめしています。
Q3. カメレオンと同じケージで飼えますか?
絶対に避けてください。カメレオンは樹上棲・高湿度・肉食、クモノスガメは地上棲・低めの湿度・草食寄りと、必要環境が真逆と言えるほど異なります。さらに、種の保存法対象種であるクモノスガメを他の生体と同居させると、ストレスや感染症リスクの観点でも非常に危険です。必ず種ごとに専用のケージを用意してください。
Q4. 夏眠(エスティベーション)は必ずさせるべきですか?
必須ではありません。飼育下では通年活動させていても健康に長期維持できるケースが多く報告されています。繁殖を狙う場合や、ベテランの繁殖家が温湿度サイクルの一環として夏眠を組み込む場合などに、限定的に行うものと考えるのが安全です。健康状態が万全でない個体に夏眠を強いると、命に関わるリスクがあります。
Q5. 寿命はどのくらいですか?
飼育下のデータはまだ限定的ですが、適切に飼育すれば40〜70年程度生きると考えられています。リクガメ全般に共通することですが、飼育を始めた瞬間から「自分の人生計画と並走する存在」になる覚悟が必要です。万が一の場合の引取先や、長期間の世話を任せられる家族・友人ともよく相談しておきましょう。
Q6. クモノスガメは多頭飼育に向いていますか?
ペア飼育やトリオ飼育自体は可能ですが、オス同士の同居は激しい争いになりやすいので避けるべきです。広いエンクロージャーで、十分な隠れ家を複数用意し、給餌は離れた場所で同時に行うなど、ストレスを分散させる工夫が必要となります。
Q7. もし飼えなくなったらどうすればよいですか?
絶対に野外に逃がさないでください。日本国内に放った場合、生態系への影響だけでなく、種の保存法違反として罰せられる可能性があります。爬虫類専門ショップ・繁殖家・動物園・保全団体などに譲渡相談をする、終生飼育施設の利用を検討する、などが現実的な選択肢です。登録票も併せて譲渡することを忘れずに。
Q8. ぺぺ君と一緒に「マダガスカル繋がり」で展示することはできますか?
気持ちはとても分かりますが、種ごとに専用ケージを用意したうえでの「並べて鑑賞」程度に留めておくのが安全です。直接同じケージに入れることは、感染症リスクや環境ミスマッチの面で絶対にNG。「マダガスカルテーマの飼育部屋」として、それぞれ最適化された個室を並べる、というレイアウトなら夢があって良いかもしれませんね。
まとめ──「飼える喜び」と「守る責任」の両輪で
クモノスガメ(Pyxis arachnoides)は、マダガスカル南西部の乾いた大地が生み出した、世界でも有数の宝石のようなリクガメでした。クモの巣模様、手のひらサイズ、長い寿命、そしてCITES付属書Iという最厳格レベルの保護。これら全部を含めて、ひとつの完成された存在だなぁと、私はいつも思います。
飼育を志す方には、以下の3つを胸に刻んでいただきたいです。
合言葉:「登録票・乾燥環境・長寿コミットメント」
- 登録票なしの個体には絶対に手を出さない──密輸需要を生み出さない
- 湿度40〜60%・バスキング30〜32℃・葉物中心の食事──マダガスカルの大地を再現する
- 40年以上のお付き合い覚悟──自分・家族・社会と長期的にすり合わせる
そして、もし今は飼えない立場でも、保全団体への寄付や情報共有という形で支援することができます。「飼う」だけが愛し方ではないのがクモノスガメの面白いところでもあり、深いところでもありますね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました🦎
あなたの素敵な爬虫類ライフの一助になれたら嬉しいです🌱

















